天才テリー伊藤対談「ゆりありく」(3)猿のルールで上下関係を築くんです (2/2ページ)
俺が昔、猿まわしを見た時には、棒みたいなもので叩いて、言うことを聞かせていた感じだったけど、そういう方法はどうなの。
ゆりあ 他のところで、どういうやり方をしているかはわからないですが、うちの一門では、お猿さんに暴力を振るうことは絶対にないです。押さえ込んで背中を噛む、ということはしますけれど。
テリー 何なの、それ。
ゆりあ それが、猿山でボスが下の者たちに言うことを聞かせる時の行為なんです。
テリー ああ、いわゆるマウンティングだね。
ゆりあ はい。私たちは人間のやり方ではなく、猿のルールに従って、上下関係を築くんです。そういうことも、信頼を得るための一つの手段ですね。
テリー あと、人間と同じで、猿の中にも猿まわしの才能のないヤツがいるんじゃないですか。何度教えても覚えない、みたいなことがあった時、イラッとしたりとかないの。
ゆりあ お猿さんにもいろんな性格があって、短気だったりおとなしかったり、みたいな差は確かにあるんですが、芸に関しての向き不向きはないんですよ。お猿さんにはみんな、猿まわしができる能力があって、それを引き出せるかどうかは、教える人間側の問題なんです。覚えるためのメニューをしっかり組み立てて、どんなお猿さんでも立派に育てる。それが私たちの仕事です。
テリー それができない会社の上司なんて、世の中にゴマンといるよな(笑)。でも、その心がけがないと、あれほどの芸を見せることはできないんだろうなァ。