ミッション「奥方の辱めを代行せよ!」江戸時代に存在したオナラの身代わり業「屁負比丘尼」

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ミッション「奥方の辱めを代行せよ!」江戸時代に存在したオナラの身代わり業「屁負比丘尼」

いつの世でも恥ずかしいのが「おなら」。少し気の緩んだときに「プッ」と出てしまうほど恥ずかしいことはありません。まして、おならをした人が殿様や大名の婦女のような身分の高い女性だったらなおのこと。

江戸時代、見合いなどの席でおならをしたことによって自殺をしたり引きこもってしまった女性が後を絶たなかったそうです。当時の女性にとって、おならはまさに「死活問題」でした。

そこで登場したのが、「屁負比丘尼」といわれる職業の尼僧。平時は身分の高い奥方や娘につき添い、雑用係としてふるまいますが、彼女たちがおならをしてしまったら「私がいたしました」と謝ったり、恥ずかしそうに振舞うのがそのミッション。

屁負比丘尼は、「科負(とがおい)比丘尼」とも呼ばれており、おなら以外にも女性がした過失や、はしたないおこないの一切を引き受け、自分のことだとしたようです。

ほかにも将軍に呼ばれると近づいて尿筒(尿をいれる瓶)を差し出す「公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)」などもいたそうです。

会社勤めが当たり前のことになっている現在と違い、江戸時代は厳しい格差社会。下級階層の人たちはどんな手段を使っても日銭を稼がなければならず、そのため日常生活の至るところに「職業」が入り込む余地がありました。生活のためとはいえ、庶民の職探しは今よりも大変だったのかもしれません。

普段から周りのことをこなし、粗相があったときは迅速にその科を背負ってくれる。「屁負比丘尼」はそんな頼りになる存在のためにとても大切にされていたそうです。

そして、その場にいるだけで場が和むことから、周りからは大変好かれていたといいます。

「屁負比丘尼」のような存在は、メンツはって生きていかなければならない江戸時代の女性たちの生活や命を縁の下からまもる、心強い存在だったのかもしれませんね。

「屁負比丘尼」のような職業は、現在ではありませんが、彼女たちの存在からは、かつての身分の高い人たちの気苦労を感じ取ることができるのではないでしょうか。

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