弘兼憲史の「老活」黄昏シネマ厳選10本(1)『黄昏流星群』を描き始めたのは48歳 (2/2ページ)

アサ芸プラス

アバウト・シュミット

 ジャック・ニコルソン演じるウォーレン・シュミットという定年退職した主人公は、妻が急死し、離れて暮らす婚約中の一人娘を訪ねていきますが、誰からも必要とされない存在になってしまった自分に気づきます。しかし旅を終えて帰宅してみると、支援していたアフリカの子供から感謝の手紙と絵が届いていて男は号泣。誰にも必要とされないと思っていても、必要としてくれる人はいるものだし、過去の地位や家族なんかにしがみつくことなく、謙虚に慎ましく生きて行くべきだと考えさせられます。

トゥルー・グリット』は、14歳の少女が、父親を殺した犯人に復讐するため、隻眼のガンマン(ジェフ・ブリッジス)を雇って仇討ちの旅に出るコーエン兄弟による西部劇。苦難の旅の果てに、ついに仇討ちを果たしますが、少女は毒ヘビに噛まれてしまいます。老ガンマンは瀕死の少女を担いで走りに走って医者に届け、少女が目覚めたとき、すでに男は姿を消しています。身を犠牲にして本当の勇気(トゥルー・グリット)を示した男のカッコ良さ。

ミリオンダラー・ベイビー』は、老トレーナーと女性ボクサーのサクセスストーリーの前半とはうって変わって、後半には反則パンチを受け全身不随になってしまった女性ボクサーが、安楽死を訴えます。ついにはすべてを捨てて彼女を安楽死させ、一人世の中から姿を消していく老トレーナー。

 この2本の映画は、このようにありたいと私が思うカッコいい年寄りの姿です。

弘兼憲史:1947(昭和22)年、山口県岩国市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)勤務を経て74年漫画家としてデビュー。以来、漫画界の第一線で活躍し、『人間交差点』『課長島耕作』『黄昏流星群』などヒット作を次々と生み出している。また、『弘兼流60歳からの手ぶら人生』(海竜社)、『長生きだけが目的ですか? 弘兼流「人生100年時代」の歩き方』(徳間書店)など、中高年の生き方に関する著作も数多い。07年、紫綬褒章を受章。

「弘兼憲史の「老活」黄昏シネマ厳選10本(1)『黄昏流星群』を描き始めたのは48歳」のページです。デイリーニュースオンラインは、東京物語週刊アサヒ芸能 2018年 12/27号黄昏流星群ミリオンダラー・ベイビー弘兼憲史カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る