弘兼憲史の「老活」黄昏シネマ厳選10本(1)『黄昏流星群』を描き始めたのは48歳 (1/2ページ)
『課長 島耕作』シリーズやドラマ化された『黄昏流星群』の作者・弘兼憲史氏は今年71歳。古稀を超えてなお数多くの作品を執筆、週刊アサヒ芸能連載をまとめた『長生きだけが目的ですか?』(徳間書店)など、人生100年時代の生き方、死に方についての発言も多い。無類の映画好きを自認する弘兼氏にオススメの老活&黄昏シネマを聞いた。
『黄昏流星群』の連載を始めたのは、私が48歳のときでした。いま考えると48歳はバリバリの働き盛り。
今回のドラマ化の原作になっている連載第1回目の『不惑の星』の主人公がラスト近くで、「盛本芳春、五十三歳、平均寿命まであと二十三年」「長い長い黄昏をどうやって生きるか、これから二人で模索してゆきたい」と独白させているんですが、当時76歳が男性の平均寿命でした。現在は男性81歳、女性87歳ですから、この23年間に5歳も平均寿命が延びている。この間に定年も55歳から60歳になり、さらに65歳まで延長されてきています。
いま私は71歳で古稀を過ぎましたが、日本資本主義の父と言われた渋沢栄一の言葉に、「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ」というのがありますが、そんな気分ですね。
『東京物語』
尾道に暮らす老夫婦が東京の子供たちを訪ねるというこの作品の見所は、主人公の笠智衆さんの立場に立って観ると、結局「年をとってみると自分たち親の存在は自分が思っているほどには重くないのだ」ということを自覚させてくれるところだと思います。
1975年に日本公開された『ハリーとトント』も、妻の死後、息子や娘のところに愛猫のトントと一緒に訪ねていく72歳の男のロードムービーですが、『東京物語』と同じで、子供とか周囲に頼らず自分一人で生きていく、少なくともそういう意識でいなければということを認識させられます。