赤い隈取りのような歌舞伎ネタ演出は史実を踏襲!「いだてん」振り返りと次回のポイント
1月6日、今年の大河ドラマ「いだてん」第1話が放送されました。まず東京オリンピック初開催決定のときからさかのぼり、明治末ごろ、日本がオリンピック初出場を果たすまでのエピソードが語られるという展開でしたね。
古今亭志ん生が創作した落語が語りとなるということは事前にわかっていたので、大体の方の予想通りの展開だったのではないでしょうか。
主役登場シーンはまさかの歌舞伎ネタ!?オリンピック初出場パートの主役というと、中村勘九郎演じる金栗四三なのですが……開始から何十分経っても出てこない。おそらく車のわきの木陰で立ちションしていたのが金栗なのですが、ハッキリと顔は映らないままでした。
満を持してようやく登場したのが、羽田の予選大会でのマラソンでゴールに戻ってきたシーンでしたね。脱落者が続出する中、世界記録を大きく塗り替えるタイムでゴールしたのが金栗でした。
ここで視聴者を騒がせたのが、まるで歌舞伎の隈取りのような血みどろ演出!血みどろといっても本当に血が流れていたわけではなく、雨で帽子の染料が流れ出しただけなのですが、それが頭から顔に流れ、歌舞伎の隈取りのようになっているとリアルタイムで話題になりましたよね。
これ、歌舞伎役者である中村勘九郎だから、というネタでもあるのですが、実は本当にあった出来事のようです。
みなさん!第1回いかがでしたか?
ラストシーン、雨に濡れた帽子の赤い染料が四三の顔に垂れてきた、というのは実際に記録に残っているエピソードです!
#いだてん にはウソのようなホントの話が盛りだくさんです! pic.twitter.com/pWhIAMn4pu
— 大河ドラマ「いだてん」 (@nhk_td_idaten) 2019年1月6日
放送後、公式Twitterでこのことが触れられていました。
さすがに隈取りのようにしたのは演出でしょうが、実際にあったことをこんなふうに生かすなんて粋ですね。ほかにも随所に小ネタが差し込まれていて、毎回楽しそうです。
第2話は金栗の少年期を描く次回、ようやく金栗四三のストーリーが始まります。病弱だった金栗がどうやってあれだけの距離を走るようになったのか、また幼馴染の春野スヤ(のちの妻)との関係も描かれます。
ところで、史実では春野スヤは幼馴染ではなく、ふたりはお見合いによって結婚したようです。ドラマでもおおよその展開は史実通りに進むと思われるのですが、実際春野スヤは名家の池部家に嫁ぐも病弱だった夫を亡くしてしまい、池部家の遠縁にあった金栗が養子となって再婚、という流れだったようです。
よって実際は結婚話が持ち上がるまで会ったこともなかったのではないかと思われるのですが、ドラマではふたりの関係がどのように描かれるのかが見どころですね。
嘉納治五郎が校長を務める東京高等師範学校へ金栗は東京高等師範学校への進学を決意します。これが嘉納治五郎との出会いにつながるわけです。
ちょっとこぼれ話として触れておきたいのですが、この東京高等師範学校、初代校長は山川浩(やまかわひろし)という人です。この名前を見て覚えがある方も多いのではないでしょうか?大河ドラマ「八重の桜」の主人公の兄です。西島秀俊が演じていました。
もちろん、「いだてん」にはまったく登場もしない人物なのですが、八重の桜の主人公を演じた綾瀬はるかもキャストにいることもあって、ちょっとしたつながりを見つけるとおもしろいですよね。
よく近現代を舞台に描かれる朝ドラなんかは、「この時期あのドラマでは○○があったころで~」なんて思ったりしますが、(「まんぷく」でも過去作登場人物の名前が登場したりしました)大河ドラマでも注意深く観ていると、ちょっとしたつながりが見えてくるかもしれませんね。
たとえば三島弥彦(演:生田斗真)の父・三島通庸は薩摩藩士でした。ストーリー展開上は前作「西郷どん」と一切つながりがないわけですが、作品は違っても時代は続いているんだなあと感じられるポイントです。
いだてん~東京オリムピック噺~日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan