『下町ロケット』特番が示した“TBS日曜劇場”が強いワケ

日刊大衆

『下町ロケット』特番が示した“TBS日曜劇場”が強いワケ

 第2シーズンも人気を博した、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。その特別編がこの正月、1月2日に放送された。通常放送の最終話が最終回らしくなく、特別編が実質上の完結編。それも正月特番というイレギュラーな放送だっただけに賛否両論を巻き起こしていたが、終わってみれば平均視聴率が14%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、高視聴率を記録して『下町ロケット』人気を示した。それにしてもこのドラマ、どうしてここまで支持されたのだろう? まずは特別編のストーリーを振り返り、考えてみたい。

 下町トラクター、ダーウィンに対抗すべく「帝国重工」の的場(神田正輝/68)たちは下請け会社に圧力をかけた。これによりダーウィンプロジェクトは一時混乱に陥るが、「ダイダロス」の重田(古舘伊知郎/64)は、公正取引委員会に対して異議申し立てを行い、的場を取締役からの辞任に追い込んだ。その後、ダーウィンのトランスミッションに問題があることが発覚し、「ギアゴースト」の伊丹(尾上菊之助/41)は、ミッションの特許を持つ佃製作所に、特許使用の許しを請うため頭を下げる。しかし佃航平(阿部寛/54)はこれに、頑として特許の使用を認めず……という展開だった。

 結局は佃航平が、「ギアゴースト」と特許ライセンス契約を結ぶことを宣言。これには大きな拍手が起こり、主演の阿部寛がおいしいところをすべて持っていく、気持ちの良いラストだった。この「最後には佃製作所や佃航平がうまくやる」という爽快さと安心感が、『下町ロケット』最大の魅力だろう。そう、印籠を見せてすべて解決する『水戸黄門』シリーズ(TBS系ほか)と同様、紋切り型で安心できる展開が、多くの視聴者の心をつかんだのだ。

 これは2013年の大ヒットドラマ『半沢直樹』(TBS系)以降、『ルーズベルトゲーム』、『陸王』と立て続けに、池井戸潤作品を扱ってきた“日曜劇場”の特徴だ。窮地に追い込まれるけれど最後は登場人物たちの熱い想いで難局を切り抜ける、そんな池井戸作品の展開が日曜の9時という時間設定にハマっているのだ。

■ドラマ不況時代に強い“日曜劇場”

 以前の“日曜劇場”は木村拓哉(46)主演の『GOOD LUCK!!』に代表されるように、人気俳優に頼る若者向け作品も多かった。けれど、近年は池井戸作品以外でも17年の『小さな巨人』や昨年の『ブラックペアン』など、心地よい大団円で誰もが楽しめるドラマが多く、まさに現代の『水戸黄門』枠になっている。若者相手ではなく、全世代網羅型というスタンスこそが、“日曜劇場”ヒットの法則なのだ。『下町ロケット』が年またぎ放送、新年特番という異例のスタイルで成功したことも、老若男女、誰でも楽しめる、お茶の間の人気作だった証拠といえる。

 今後も“日曜劇場”は、1月期に常盤貴子(46)が主演の法廷ドラマ『グッドワイフ』、4月期に福山雅治(49)主演の銀行モノ『集団左遷』と、これまた全世代に刺さりそうなドラマが続く。日曜の夜はドラマを見て元気になりたい! そんな想いに応えてくれる限り、“日曜劇場”はヒット作を量産してくれそうだ。(ドラマライター・半澤則吉)

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