人類存亡の危機?天の川は考えられているよりも早く、近くの銀河と衝突する運命にあることが判明(英研究)
太陽系が存在する天の川銀河は、局部銀河群という銀河の集まりの中にある。その位置は固定されたものではなく、特に安全な場所にあるわけでもない。
銀河は常に動き続けており、英ダラム大学の研究者によると、近くにある大マゼラン雲との衝突コースを突進しているそうだ。
『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された研究論文によると、今から10億から40億年後のどこかの時点で、天の川は大マゼラン雲と衝突することになるという。
むろん、その影響は地球の生命にとって危険なものとなる。
・質量の大きなダークマターハローが運命を握る
以前、大マゼラン雲は、太陽と地球のように、重力によって天の川と弱く結びついていると考えられていた。もしこれが本当であれば、大マゼラン雲は特に面白みもなく天の川を周回し続けたことだろう。
だが最近になって、大マゼラン雲にはその大きさから予測されるものの2倍の質量を持つダークマターのハローに囲まれていることが判明した。
今回明らかになったのは、この重たいダークマターハローによって、その運命が決められてしまっているということだ。すなわち天の川との衝突である。
だが研究者が一番驚いているのは、シミュレーションによってそれがかなり早い将来に起きると示唆されたことだ――20億年後には起きるかもしれないのだ。
Simulation of the Evolution of a Galaxy Similar to the Milky Way
・人類存亡の危機?
仮に人類がその時代まで生きていたとしても、この衝突のあとの生存は保証されなくなる。
衝突が太陽系に直接影響を与えるわけではないが、それによる連鎖反応が起こり、生命を危機に陥らせるのだという。
天の川に衝突した大マゼラン雲は移動しながら、天の川の星々を引っ張り、軌道を乱す。そのときに星々が動くコースは予測困難だが、もし1つが太陽に向かってきたとすれば、太陽系の軌道もまた乱れることだろう。
こうした乱れは地球の生命にとって極めて危険だ。ほんの少しでも太陽と地球との距離に変化が生じてハビタブルゾーンから外れてしまえば、地球は暑すぎるか、寒すぎる環境に瞬く間に変化してしまう。
また相当に運が悪いケースもある。1~3パーセントの確率で、太陽系が天の川から完全にはじき出されてしまうという可能性だ。

大マゼラン雲 image credit:NASA
・無事生き残れれば様変わりした夜空を見られる
だが幸いにも我々の子孫がこの事態を生き延びることができたならば、「様変わりした夜空」を見ることができると研究者は予測する。
その時代、夜空は今よりもずっと暗くなり、唯一天の川の控えめな明かりしか見えなくなるそうだ。
動画は天の川のような銀河と大マゼラン雲のような伴銀河が衝突した状況をシミュレーションしたものだ。
星々が弾き飛ばされてスイングしている様子が分かるだろう。太陽の次に地球に近い星々は、数百から数千光年も散り散りになってしまう。

image credit:youtube
・宇宙において銀河同士の衝突は日常茶飯事
これだけでもゾッとするが、さらに恐ろしいのは、こうした銀河同士の衝突がしょっちゅう起きているという事実だ。
天の川にしてみても、大マゼラン雲以外にアンドロメダ銀河という”肉食”銀河がそばにある。
アンドロメダ銀河はかつて天の川の古い兄弟銀河に衝突しては食いちぎり、今現在はM32を融合している真っ最中だと考えられている。
またりょうけん座にある子持ち銀河とM51bも同じような関係にある。

・衝突によって天の川が正常化
人間にとっては恐ろしいことこの上ないが、衝突はじつは天の川を正常に戻す作用があるのだという。
現在天の川は、「中心に沈滞した超大質量ブラックホールを持つ」という点できわめて異常な状態にある。そのブラックホールは同規模の銀河にあるものの10分の1というサイズでしかないのだ。
また、古い星のハローも通常の5分の1と小さく、その化学的性質も未発達だ。にもかかわらず、大マゼラン雲のようなやたらと大きな伴銀河がある。
こうした状況から、天の川が10億年はほかの銀河と衝突していないらしいことが窺える。普通の衝突スパンはとっくに過ぎている。
よって人類にとっては災厄でしかないが、天の川にとっては通常の状態に戻る恩恵なのかもしれないということを覚えておこう。
とはいっても20億年後の話だ。超巨大火山が噴火したり、隕石がぶち当たって地球が消滅するのはそれよりも早い可能性だってあるわけだし、先のことはわからないので今をまっとうしようじゃないか。
References:academic / Inverse / arxiv written by hiroching / edited by parumo