なぜ人は泣くの?笑うの?夢をみるの?ごく身近なことなのに、未だに科学で解明されていない10のこと

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なぜ人は泣くの?笑うの?夢をみるの?ごく身近なことなのに、未だに科学で解明されていない10のこと
なぜ人は泣くの?笑うの?夢をみるの?ごく身近なことなのに、未だに科学で解明されていない10のこと


 人類は宇宙の物理法則を解き明かし、月にまで到達した。DNAにメスを入れ、生命の神秘も白日のもとにさらした。

 それなのに、当たり前のことなのに解明されていないことがある。ここで紹介するのは、そんな身近にある科学的なミステリーだ。
・1. 人が泣く理由

 悲しい映画を観て涙が出ることもあれば、嬉しさのあまり泣くこともある。

 だが、強い感情への反応として泣くという行為にはメリットがあるようにも、生物学的な目的があるようにも思えない。

 こうした心因性落涙のときの涙が、潤滑液としてや目に入ったゴミを洗い流すために流れる涙とは、化学的組成が違うということまでは判明している。

 このために心因性落涙は感情を癒すために流されるという仮説もあるが、そこに含まれる化学物質にそのような作用があるとは証明されていない。

 一方、一種の救難信号として進化したという説もある。2009年の研究によると、涙で視野をぼやけさせることは降参や無力さのサインであり、他人に救助行動を促すのだという。


・2. しゃっくりを治す方法

 しゃっくりが出たら、治すために息を止めたり、水を飲んだりするかもしれない。こうした俗説はたくさんあるが、きちんと効果が確認されている方法はない。

 もしかしたら研究が進まない理由は、大抵の場合は放っておいても特に問題がないことかもしれない。

 ひどいしゃっくりの治療に利用されるハロペリドールのような鎮静剤や迷走神経刺激療法、あるいは直腸マッサージはあなたが自分で試せるものではない。

 今のところは、治るまでひたすら耐えるか、効果が証明されていない方法で頑張るしかない。


・3. 全身麻酔が効く仕組み

 麻酔医は麻酔の扱い方は習得しているが、それが効く理由をきちんと理解しているかと言えば、そういうわけでもなさそうだ。

 ノボカインのような局所麻酔なら、痛みが中枢神経に到達する前に、神経細胞のタンパク質の働き方を変えて痛みを感じなくさせると分かっている。

 だが全身麻酔の分子レベルの作用については謎に包まれたままだ。

 中枢神経系の神経細胞に存在する各種タンパク質の働きに干渉しているようであるが、実際にどのようにそれが行われているかはよく分からない。

 全身麻酔にはいくつもの種類があり、それぞれが異なる仕組みで効いている可能性が高い。このことも全身麻酔が効く理由の一般的なモデル作りを難しくしている。


・4. 睡眠が必要な理由

 睡眠不足は、長期にわたった場合深刻な病気につながるリスクを増大させる。完全に眠りが奪われてしまえば、命にすら関わる。

・睡眠不足になると脳は自らを食い始め、ダメージを負う(イタリア研究) : カラパイア

 人が眠るよう進化したのは、休息や記憶の固定化といったことが理由であるようだが、では眠るとなぜその目的に適うのかといったことはよく分かっていない。

 また上記の理由のほかにも、起きていてもあまりメリットのない時間にエネルギーを節約するためといった説もある。

 動物界に広く眠る習慣が見られることから、そこに大きな進化上の利点があることは納得できるのだが、少なくとも現時点ではそれついて決定的な説明はない。


・5. 痒くなる理由

かゆみとはポリポリと掻きたくなるような不快な感覚のことだ。

 そうなる理由については、産毛が刺激されて生じるかゆみなら、虫や寄生虫の存在を知らせ、手で払わせるためだと説明できるかもしれない。

 だがこの仮説を証明することは難しいし、ヒスタミンなどの化学物質が引き起こすかゆみについては説明することができない。

 たとえば、うっかり蚊に食われてしまうと、赤く膨らんだ腫れの中にあるヒスタミンのせいでしばらくは掻きむしりたい衝動に苛まれることだろう。

 はたして、この類のかゆみにも何らかの目的があるのか、それともたまたま痒みを生じさせているのかどうかははっきりしない。


・6. 老化する理由

 美容の専門家がいろいろ主張しているが、本当のところは誰にも分からない。

 フリーラジカルという反応化学物質がしばしば犯人として挙げられるが、老化の原因はそれだけではないし、細胞にはこれによるダメージを最小限に保ついくつもの仕組みが備わっている。

 DNAのキャップとして知られるテロメアが短くなることもよく槍玉に挙げられる。だが、やはりこれ以外にも老化の原因はある。

 老化に寄与する因子はいくつも発見されており、この現象のすべてを説明できるような単一の因子は見つかっていない。それゆえに老化する本当の理由も分からない。


・7. 笑う理由

 笑いは、泣くことと同じく、社会的なツールとして発達したのかもしれない。

 それは人間だけの行動というわけではなく、また霊長類に限ったものでもないようだ。たとえばネズミはくすぐられると笑うし、イルカもプロレスごっこをしながら笑いに似た音を出す。

・ネズミはくすぐると笑う(ドイツ研究) : カラパイア

 私たちが笑う理由についての有名な仮説によると、笑いには相手に戦いが遊びであることを伝える社会的なサインであるという。

 仮にこの仮説が正しいのだとしても、人間については笑いをもっとさまざまな目的に利用するよう進化してきたとも考えられ、笑いを謎めいたものにしている。


・8. 動物はどのように里帰りをするのか

 動物の中には、繁殖相手を探すために生まれた場所に驚くべき正確さで里帰りする仲間がいる。

 これは出生地定住性(natal philopatry)と呼ばれる習性で、たとえばナンキョクオットセイのメスは、自分が生まれた場所にピンポイントで帰還することができる。その誤差は体に収まるくらいのものでしかない。

 だが数ヶ月、あるいは数年も離れていたあとで、どのようにしてそこまでたどり着くのだろうか?

  一説によると、地球の地磁気を感知しているという。地磁気に敏感なウミガメのように、これでうまく説明できそうな動物もいるが、ウミガメが実際にそうやって生まれた場所に里帰りしている姿は確認されていない。

 またタイヘイヨウサケのように、匂いを辿って故郷に帰るという説もある。実験では、サケが水の中に含まれる化学物質で自分が育った故郷を嗅ぎ分けられることが示されている。

 しかし広大な海でその匂いを嗅げるはずもない。仮にサケが匂いを辿っているのだとしても、それ以外に生まれた場所を知る方法があると考えられるのである。


・9. 夢の正体

 我々が眠りにつく理由は複雑かもしれないが、夢を見る理由はさらに複雑だ。大抵の夢はレム睡眠の最中に見られるが、そもそもそのレム睡眠もあまりよく分かっていない。

 ある仮説によると、夢は起きている間に生じた問題の解決を探したり、その対応のリハーサルを行うためのものだというが、これを証明する確たる証拠はない。

 夢が何かとても重要なものに感じられる一方で、特にさしたる目的がないという可能性もある。もしかしたらレム睡眠のときにたまたま生じる副産物でしかないかもしれないのだ。

・我々が夢を見る10の理由、科学者たちの仮説 : カラパイア


・10. 乱流が生じる仕組み

 乱流はエンジンの燃焼やゴルフボールの飛び方までさまざまな事柄と関係しており、工学的な観点からは、乱流が生じる仕組みの解明は重要なことだ。

 だが古典的な物理学が確立されたのは随分前のことだというのに、乱流は同分野でも最大の難問の1つだと考えられている。

 乱流をモデル化するには、液体や気体のような流体の動きを表すナビエ-ストークス方程式を使う。

 だが、これこそが問題なのだ。

 というのもこの方程式自体があまり理解されていないのである。

 なにしろ、方程式のきちんとした証明が数学の7つのミレニアム懸賞問題になっているのである。見事解くことができれば、100万ドル(約1億1000万円)の賞金が贈られるほどの難問だ。

References:12 Common Things Science Still Hasn't Figured Out | Mental Floss/ written by hiroching / edited by parumo
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