どうして神社に絵馬を奉納するのでしょうか?馬は神様の乗りものだから

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どうして神社に絵馬を奉納するのでしょうか?馬は神様の乗りものだから

馬は神様の乗りもの

日本人は、願をかける際、古くから神社に絵馬を奉納することが習わしでした。『絵馬』を神様に奉納するという風習も既に奈良時代から始まっていたと考えられており、日本各地の奈良時代のものとされる遺跡からは、絵馬の一部が発掘されています。

古来より馬は「神様の乗り物」と考えられ、神様が願いをかなえに人間のところにやってくるときには馬に乗ってやってくるとされていました。そのため、人々が願をかけるときは神様に馬を奉納するのが習わしでした。『続日本紀』には、干ばつや雨乞いの際に生贄として馬を奉納したという記録が残されています。

今でも大きな神社には神馬舎(しんめしゃ)があり、馬が大切に飼育されているところもあります。

越後一宮彌彦神社の神馬舎

しかし、古代より馬は非常に貴重な動物でした。なおかつ、神社に馬を奉納した場合、その餌の費用も祈願者がもたなければなりませんでした。このように、生馬を奉納するのはとても大変なことで、実際に生馬を奉納できたのは、財力と権力を持った一部の権力者だけでした。

本物の馬の代わりに献上される「馬形」

そこで本物の馬を寺社に献上が不可能な人々の間で盛んに行われたのが、「馬形」です。これは、銅や木造で作られた馬のミニチュアを献上するという行動でした。今でも「馬形」の慣習は一部に残されています。例えば、東大寺境内近くの手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)にはこの「馬形」を入手することができます。

手向山八幡宮で入手できる馬形

生馬や馬型すら奉納できない人たちの間では、木や神に馬の絵を描き、奉納するという広まりました。これが「絵馬」の誕生です。

当初は木や紙に馬の絵をかいて奉納していた「絵馬」も室町時代になると馬の他にも様々なものが描かれるようになります。また、この頃になると大型化し、扁額式の絵馬も誕生したとされています。

「絵馬」が、現在のわれわれにもなじみ深い小型ものが増えるようになったのは、江戸時代頃からだと考えられています。当時の人々も「家内安全」「商売繁盛」「無病息災」などを願い、絵馬の絵柄もさらに多様化していくことになります。

アクセス 手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)

630-8211 奈良県奈良市雑司町434
JR奈良駅、近鉄奈良駅 JR奈良駅から市内循環バス「大仏殿春日大社前」下車徒歩15分、近鉄奈良駅から徒歩30分

彌彦神社

〒959-0393 新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦2887−2
燕三条駅で弥彦線に乗り換え、終点弥彦駅着
弥彦駅より神社まで約1km 徒歩15分程

参考 岩井宏實 『ものと人間の文化史 12 絵馬』 岩井宏實 『絵馬秘境』 なら旅ネット<奈良県観光公式サイト> 手向山八幡宮 越後一宮 彌彦神社

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