花の命はなぜ短い?日本の神話と歴史が記された「古事記」に伝わる花嫁たちのエピソード (5/5ページ)
しかし、木花之佐久夜毘売は断固として譲りません。
「いーえ!絶・対にあなたの子です!あなたがお疑いなら、これからそれを晴らしてご覧に入れましょう!」
そう言って木花之佐久夜毘売は、召使いに自分の産屋(うぶや)を建てさせました。産屋とは出産専用の「離れ」で、昔は女性の生理や出産を「血のケガレ」として遠ざける風習があったのです。
それだけなら普通ですが、この産屋には戸も窓もなく、木花之佐久夜毘売を閉じ込める形で完成しました。
「いったい何をする気なんだ!?」
尋常ならざる様子に動揺する邇邇芸命に、木花之佐久夜毘売は誓約(うけい)をします。誓約とは天地神明に対して誓いを立てることで、古代の神々は時として、自分の言葉に命さえ賭けたのでした。
「これから産屋に火を放たせますが、もし私の宿している子の父が国津神であれば、私はこの愛されぬ子と共に焼け死ぬでしょう。しかし、私の宿している子の父があなたであれば、何があろうと無事に産まれる筈……さぁ、火を放ちなさい!」
かくして産屋に火が放たれましたが、結局、木花之佐久夜毘売は無事に三つ子を出産。炎の中で生まれたため、長男は火照命(ほでりのみこと。後の海幸彦)、次男は火須勢理命(ほすせりのみこと)、末っ子は火遠理命(ほおりのみこと。後の山幸彦、神武天皇の祖父)と名づけられました。
もちろん誓約を受けた以上は、邇邇芸命もこの三つ子を自分の子供として認め、みんな仲良く暮らすのですが、その後の話は、又の機会に。
※出典:『古事記』上巻 六 より。
終わりにとまぁこんな具合に、儚いなりにも人生色々とあって、今日もどこかで生まれたり死んだりを繰り返しながら、みんな悲喜こもごも、暮らしを営んでいます。
永遠の命も悪くないかも知れませんが、限りある命なら命で、そのつもりで少しでも充実させるよう努めることが、より有意義な人生につながるのでは、と思います。
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