「相続税を納付どころか申告すらしたくない」を実行したらどうなるか?

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「相続税を納付どころか申告すらしたくない」を実行したらどうなるか?

正月休みも終盤となったある日、筆者は友人が主催する新年会に参加した。その際初対面の人が居て、挨拶を済ませた後に和やかな雰囲気のなか談笑していたのだが、初対面の人は筆者が元税理士事務所勤務で、相続税を担当していたことを知ったようで、相続税について簡単な質問をしてきた。その内容は、相続税を納付どころか申告もしたくない、この場合税務署から調査が来るのだろうかということだった。

■相続税を払わないどうなる?バレる?

その内容は、相続税を納付どころか申告もしたくない、この場合税務署から調査が来るのだろうかということだった。筆者としては、状況にもよるが必ず来ると思っていた方が良い、もし租税回避行為として摘発されれば懲役刑も有り得ると伝えておいたが、本人は納得していないようであった。

税金と聞くと大抵の人は出来ることならば払いたくないと考えるはずである。給与から天引きされる源泉所得税や、車並びにバイクを所有しているだけで課税される自動車税等避けられない税金もあるが、相続税のように申告する税金ならば、もしかしてこのまま申告しないでいたら…と考えてしまう人が居ても不思議ではない。

あまり表に出てこない話ではあるが、現在の状況を踏まえて相続税を申告しなかったらどうなるか簡単に解説してみよう。



■相続税増税によって対象者が増えた結果…

前述の税務調査だが、通常だと法人や個人事業者が対象となっているのが殆どであり、一般の給与所得者(サラリーマン、アルバイト、パート)では一生涯無縁なものと考えても問題は無い。しかし、相続税ともなると話が変わってくる。何故かというと、2015年に相続税が事実上増税された関係で、無縁とされていた給与所得者にも状況によっては税務調査が実施される可能性が増大してしまったのだ。

■具体的な税務調査数は?

少々古い数値となるが、国税庁が発表した2014年における相続税課税対象者(相続税申告者)は約56000人であり、その内税務調査が実施された人は約12000であった。つまり約20%以上の人に税務調査が実施されたことになる。言い換えれば5人に1人が税務調査の対象となったのだ。2015年以降の数値については発表されていないが、前述のとおりの増税の実施により、相続税課税対象者が2倍以上になったとされている。だが、税務調査担当官の増員はされていないので、実質的な確率は最近だと10%程度、10人に1人位が対象になっていると考えていいだろう。

■税務調査の対象となりやすい条件とは

では、税務調査の対象となり易い状況とは何かと言うと、富裕層であること、無申告であることが明らかになった場合、海外に財産を移転させた又は当初から海外に財産を所有している場合等が挙げられる。何故税務署に分かるのかと言うと、マイナンバー制度により預金口座の動きが逐一把握されているからなのだ。また、生前から一定の所得がある場合には、税務署は常に監視していて、亡くなった場合でも死亡届を提出した市町村から税務署に連絡が入るようになっている。

■納税は国民の義務

以上のように様々な媒体やシステムにより課税回避行為が発覚し易くなっているため、逃げられないと考えるべきだ。錯誤や見解の違いというものも確かに存在するが、税務署に通用するかは別問題となる。税務調査によるペナルティは厳しい罰則規定が伴うので、相続税は申告期限内に正しく申告し、納税も確りとすませた方が結果的に利益に繋がるはずだと考えるが如何だろうか。

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