“哀愁のエレクト乳首”を晒して熱演!ヒロイン菜葉菜に拍手『赤い雪』

まいじつ

(C)xiuren..Click.Here...FREE / Shutterstock
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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『赤い雪』

配給/アークエンタテインメント テアトル新宿ほかにて公開中
監督/甲斐さやか
出演/永瀬正敏、菜葉菜、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市ほか

題名から『黒い雪』という65年に公開された武智鉄二監督作で、当局から「ワイセツ図画公然陳列罪」に問われた(結果は一、二審とも無罪)問題作をつい連想してしまうのは長く生きている人間の悪い癖か。こちらも問題作で、エロスもしっかり。永瀬正敏、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市と主役級の豪華キャストが、この若い才能の女性監督・甲斐さやかを盛り立てようとしている、と見て取れる。

30年前のある雪の日、1人の少年が忽然と姿を消した。少年を見失った兄・一希(永瀬)は心に深い傷を負う。容疑者が浮かび上がるものの、結局、真実は闇へと葬り去られる。そして、事件の真相を追う記者・木立(井浦)が、かつて容疑者の女性の一人娘・早百合(菜葉菜)を見つけ出したことから、“被害者の兄”と“容疑者の娘”の運命が大きく動き始める…。

あらためて、人の記憶というものがいかに曖昧か思い知らさせられる作品で、昨日の記憶もままならないオッサンとしては、もし自分が被害者側、加害者側にかかわらず、犯罪に関わる一件で証言を求められたら対処に窮するなあ、と考えてしまう。若い女性監督が長編デビュー作でこういうダーク・トーンの、一筋縄ではいかない犯罪ドラマを脚本・監督することは意義深いが、同時に彼女はどういう出自、生い立ちだったんだろう、よほど凄絶だったのか、と予断をしてしまうほど。映画で最も大切なはずの“毒”から逃げない姿勢が何より。この若い女性監督は、かなり肝が据わっている。

脆く儚いと嘆きつつも生きる

エロス描写にも“逃げ”がない。ヒロインの菜葉菜が、母親(夏川)のヒモ同然の男(佐藤)と腐れ縁から情を通じるシーンでは、後ろから迫られ、胸を揉みしだかれ、スレンダーな乳房、乳首を晒す。マグロ状態の彼女に構わず、男が腰をワイセツに律動させるサマを俯瞰で撮っている。新人監督の濡れ場のカメラーワークとしては水際立っている。別の濡れ場では、乳首がエレクトした哀愁の乳房を映し出す。菜葉菜のリアルな熱演はもちろんのこと、白髪交じりのゲスおやじを演じる佐藤や、娘を虐待して、連れ込んだ男と寝る“毒母”に扮した夏川の“普段見せない顔”も見逃せない。各々の役者の“覚悟”を感じさせて、壮観であった。

人の過去と未来をつなぎ、その人の精神的支柱ともいうべき“記憶”が曖昧なものだとしたら、人とは何と脆い、儚いものよ、と嘆きつつ、それでも生きる、ということか。北国に降る雪、凍てつく海原の彼方、そんな原風景の映像も思い切り胸に刺さるのであった。

【画像】

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