〈企業・経済深層レポート〉 常識破りの全席禁煙でも過去最高益 串カツ田中が支持される理由 (2/2ページ)

週刊実話



 そもそも串カツとは、肉、魚、野菜などを一口大に切って串に刺し、衣をまぶして揚げた料理のこと。大阪では昔から伝統的な郷土料理として定着していたが、全国的にはまだまだマイナーな料理だった。
「串カツはいままで全国にチェーン展開する業態ではありませんでした。新味を求めていた大衆に爆発的に受け入れられたのです」(同)

 競争が激しい居酒屋業界においても、串カツに特化した居酒屋はまったく手つかず状態だった。元々、串カツ田中の貫啓二社長は別の飲食店を経営していたが、田中洋江取締役の父が残した串カツの“秘伝のレシピ”をもとに、2008年に東京・世田谷の住宅街でひっそりと1号店をオープン。すると、ファミリー層や女性客が集まった。一部店舗では、土日は開店時間を早め、昼客獲得に動いたほど。またたくまに口コミで人気店になりチェーン展開するまでに至った。

 メニューもファミリーや、女性に向けた料理を多くした。例えば、串カツのおこさまプレート、おこさまうどん、わらびもち、パフェ、ソフトクリームなど、居酒屋にはあまりないメニューを提供している。こうして串カツ田中は、居酒屋とファミレスの両ニーズを取り込む“ファミリー居酒屋”として、家族連れから圧倒的に支持を得ることになったのだ。

 串カツ田中の経営方針は、女性客やファミリー層を取り込むためだけではない。
「店舗で出る有機性廃棄物で作られた堆肥を畑にまき、その畑からキャベツを収穫。それを店舗で具材として使用するなど、環境やエコでも積極的に社会貢献の姿勢を打ち出しています。それが社会の方向性とマッチし、企業イメージも上がっているのです」(同)

 また、串カツ田中は飲食業で重要な客対応においても高評価を得ている。
「昨年末、傘下の神奈川県内の店で盗撮騒動がありました。問題店では前に盗難があり、その予防策として防犯カメラを設置していました。しかし、それが従業員の更衣室に無断で設置されたのです。その問題を重くみた経営本部は、即座に閉鎖という厳罰措置。こうした毅然とした姿が、客にも受けているのです」(飲食業界関係者)

 今後の目標は「串カツを日本を代表する食文化にするべく全国1000店舗体制」だという。串カツ田中の躍進は、昨今の飲食業界全般の低迷に“カツ”を入れる大きなヒントにもなりそうだ。
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