学生が設計した全方向対応型スフィアホイール電動バイク(アメリカ)

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学生が設計した全方向対応型スフィアホイール電動バイク(アメリカ)
学生が設計した全方向対応型スフィアホイール電動バイク(アメリカ)


 ジャイロ、加速度計、高度な制御メカニズムのおかげで、二輪車はもはやかつてのように走っていなければバランスできない乗り物ではなくなった。

 ホンダのU3-X、あるいはSuppleといったコンセプトモデルは、まったく新しい未来のモビリティの形を感じさせてくれる。

 アメリカ・サンノゼ州立大学の学生グループも、こうした自由な移動に大いに触発された。そして開発されたのが「スフェリカル・ドライブ・システム(SDS)電動バイク」である。
 
・球のタイヤで自動バランスする電動バイク

 SDSコンセプトバイクは、球(スフィア)のうえに自動バランスする電動バイクである。

 直立姿勢を維持するためにジャイロ効果(回転すると姿勢が乱れにくくなる現象)を利用するGyrobikeやC-1とは違い、SDSはMEMSジャイロスコピックセンサーと加速度計からのデータを利用して、電子制御で車体のバランスをとる。

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 開発チームのリーダー、マックス・ラトナーさんによると、「専用に開発された全方位対応ホイール内に収められた球の表面を、ドライブシステムが直接駆動する摩擦によって動く」という。

 バイクがバランスする方法は、セグウェイのそれと似ており、加速度計とジャイロによってピッチ角を検出し、垂直線からのズレを修正することで行われる。

 スロットル、体の傾き、ハンドルバーで操縦できるのは従来のバイクと同じだが、ジョイスティック操作で前進・後退・横移動・回転といった動きが可能になるのはSDSならではだろう。


Spherical Drive System Motorcycle Concept

・ギラリと光るフレームとマットブラックのドライブスフィア

全方位への移動を可能にするSDSの3モータードライブシステムは、倒立振子という機構をモデルとしている。

 ギラリとした輝きを放つフレームはステンレス管で組まれたもので、そこに亜鉛メッキ・クロムモリブデン鋼製の全方位対応ホイールとリチウムイオン・リン酸バッテリーで駆動するアニマティクス・スマート・モーターを搭載。

 フロントとリアに採用されたサスペンションはFOX製レーシングサスを彷彿とさせる。

 車体のバランスはコンピューター制御されるので、バイクにとってもライダーにとっても安全性は高い。

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 だが万が一、車体が跳ねて、地面から浮き上がってしまうようなことがあっても、ドライブスフィアがスイングアームの外に飛び出すようなことはないという。

 ちなみにそのスフィアは基本的にカーボンファイバーとファイバーグラスシェルで作られたもので、そこにトラクションを高めるために耐久性に優れた工業用ゴムでコーティングが施されている。


・ただしまだ開発段階。いつの日か実用化されるのか??

 2011年より開発が始まっているものの、まだ実現には至らず、開発チームによれば、最初の目標は車体を安定させ、時速16キロできちんと制御できるようにすることだ。

 しかし理論上は、時速96.5キロまで加速させることができる。

 とはいえ、そこまでの性能が実現されるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。「ハードウェアという点では85パーセント組み上がったが、ソフトウェアと電子装備の点では20パーセント程度」(ラトナーさん)しか完成していないのだ。

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 開発は、基本的に不安定なシステムを、複数の駆動モーターとノイズが入り混じるセンサーのデータによってバランスさせるという難しい作業だ。

 たんなる実験としてならば、きちんと制御システムを機能させることができるが、外に出て人々の足として実用化しようというならば話は別である。

 だが、いつの日かこんなクールなバイクが路上を疾走する――そんな未来に期待を抱かせてくれる。

References:Students designing an omnidirectional sphere-wheeled electric motorcycle/ written by hiroching / edited by parumo
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