スポーツジムや病院の交通費も…「国からもらえるお金」必読マネーガイド

日刊大衆

写真はイメージです
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 ややこしい、と何もしていない人も多いはず。プロが指南する技を実行すれば、数十万円戻ってくるかも!?

 今年も、確定申告の時期(2月18日〜3月15日)が近づいてきた。“自分は会社員で年末調整も終わっているので関係ない……”と思う人も多いかもしれないが、『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)などの著書もある、株式会社Money&Youの代表で、マネーコンサルタントの頼藤太希氏は、こう話す。「確定申告は各種の控除を活用することで、払い過ぎた税金を取り戻せるチャンス。会社員でも、10〜20万円くらいは返ってくる可能性があります」(以下同)

 ならば、これを活用しない手はない。今回は頼藤氏に、絶対に損しない「国からもらえるお金」について、じっくりと教えてもらった。

 確定申告で、まず注目すべきは「医療費控除」だろう。医療費が年間で10万円を超えていれば税金が返ってくることを知っている人は多いかもしれないが、あまり知られていないのは、対象となる医療費の細かな範囲について。

「医療費として認められるのは、基本的には医療機関で支払った自己負担分の医療費、薬局で支払った薬代です。そうと聞くと、年間10万円はクリアするのが難しそうな気がしますが、市販の風邪薬や胃腸薬などの代金も申告することができますし、人間ドックは対象外ですが、人間ドックで重大な疾病が判明し、治療や手術を受けることになった場合、人間ドックの費用も含めて控除対象となります。また、病院までの交通費もバスや電車は認められます。足の骨折や急を要するなどのケースなら、タクシー代も認められるんです」

 さらに中高年男性にうれしいのは、レビトラなどの治療薬代も、医療費控除の対象であるということ。「ポイントは“医師の診断”があるかどうか。通販などで自分で買ったものは対象外です。同様に医師の診断のもとで行ったAGA(男性型脱毛症)治療も、医療費控除の対象となります」というから今後は、お金の面から考えても、堂々と医者にかかるべきだろう。

■温泉療養指示書で交通費や宿泊費も

 他にも、健康診断でメタボ判定が出てしまった人には、こんな裏技も使える。「医師が運動療法の処方箋を書いてくれれば、毎月のスポーツジム会費も、控除の対象になります」

 また、腰痛や心臓病、糖尿病や高血圧の持病がある人は、医師に「温泉療養指示書」を出してもらえれば、厚労省の認定施設限定ながら往復交通費や宿泊費も医療費控除の対象になる。

「医療費は、家族の分を合算で申告できますから、奥さまが鍼灸治療に行っていれば、そのレシートや領収書も必ず取っておきましょう」

 それでも、年間10万円は超えそうもないという人は、2017年1月からスタートした「セルフメディケーション税制」がある。「セルフメディケーション税制の対象医薬品に指定された薬などを購入し、それが年間1万2000円を超えた場合、その超えた金額に、その人の所得に対する所得税率をかけた金額が還付されます。従来の医療費控除と比較して、自分にとって有利になるほうを選択して利用できます。セルフメディケーション税制対象医薬品は、パッケージにその表示が義務づけられており、薬局のレシートでも分かるように★マークがついていたりするので、確認してみてください」

■延長された住宅ローン減税

 また、今年の10月に予定されている消費増税に関連して、延長されることになった住宅ローン減税も頭に入れておくべきだろう。「これまでの10年から3年間の延長が決まりました。延長する3年間の減税額は、〈建物価格の2%の三等分した額〉と〈年末借入残高の1%の額〉の、どちらか少ないほうが採用されます」

 また、住宅購入時にもらえる「すまい給付金」や、耐震リフォームにかかる費用が控除される「住宅耐震改修特別控除」についても、消費増税に伴い3年間の延長が決まっているので、もし該当するなら忘れずに申告をしたいところだ。

■扶養控除も要チェック

 さらにチェックしたいのは「扶養控除」である。「30年度から配偶者控除が改定され、夫が控除額38万円を適用できる妻の収入が150万円に拡大されています。同時に、夫の合計所得が1000万円以下(給与所得のみの場合は収入が1220万円以下)に限定されていますので、まずは、この確認が必要です」

 そして見逃されがちなのが、親が70歳以上で扶養していれば適用される「老人扶養控除」。「同居していれば58万円を控除できます。同居していなくても、親の口座に生活費や療養費などを送金していれば一人当たり48万円の控除が認められます。仕送り額に決まりはなく、毎月1000円でも控除額は変わりません。父親と母親、それぞれに送っていれば、2人合わせて96万円の控除になりますね」

 親の年金収入が年間158万円以下という条件つきながら、もし年収500万円だとすれば、48万円の老人扶養控除を申請することで、所得税・住民税合わせて約10万円が返ってくることになる。控除の適用漏れは、5年前までさかのぼって申告できるので、平成25年度からの分も取り戻せることも覚えておいたほうがいい。

■定年後の給料は…

 確定申告だけでなく、国からもらえるお金は1円たりとも逃してはいけない。「中高年男性がもらえるお金は、まだまだあります。たとえば、定年後、継続雇用制度で会社に残ったり、別の企業に再就職して、給料が現役時の75%未満になった人は、継続雇用なら『高年齢雇用継続基本給付金』、退職後の再就職なら『高年齢再就職給付金』があり、最大で各月の賃金の15%相当額がもらえます。条件は、雇用保険の加入期間が5年以上で、定年後の給料が34万1015円以下であること。該当する人は多いかと思います」

 また、キャリアアップを目指して、厚労省が指定する教育訓練講座を受講・修了した場合、その経費の一部を受け取ることができる「教育訓練給付制度」も強い味方となってくれそうだ。「一般教育訓練給付なら受講費用の20%。より専門性の高い講座を受けた人は専門実践教育訓練給付で訓練費用の40%が給付されます」

 専門実践教育訓練指定講座で受講できる主な講座は、美容師、理容師、栄養士、介護福祉士、はり師、柔道整復師などなど。人生半ばで新たなチャレンジを考える方は、ぜひ活用したい。

■年金受給の繰り下げやiDeCoも

 最後にもう一つ、「年金」について、頼藤氏はこんなアドバイスをくれた。「年金受給の繰り下げを一度、検討することをオススメします。年金は65歳から支給されますが、1か月繰り下げると、年金額が0.7%増額され、1年で8.4%。仮に5年繰り下げて、70歳から受け取ると、年金額は年額で42%増えることになります」

「人生100年」といわれる今、元気で仕事もあるなら、繰り下げるのが間違いなくお得なのである。

「65歳から受け取ると、100歳までにもらえる国民年金(年額77.9万円で計算した場合)の合計は2805万円。70歳からだと合計3430万円と、600万円以上もの差が出てきます。反対に5年繰り上げて60歳からもらってしまうと、合計で2237万円しかもらえないという試算になります。一度もらい始めると変更はできませんので、じっくりと考えてから受給開始時期を決めるのがいいでしょう」

 また、税制面の優遇が大きい「iDeCo」も積極的に利用したほうがいいと、頼藤氏は話す。

「iDeCoとは個人型確定拠出年金のこと。老後資金を自分で作るための制度で、60歳までの間に毎月一定の金額(掛け金)を出して、その掛け金で投資信託や定額預金などの金融商品を選んで運用し、60歳以降に運用した資産を受け取るというもの。運用次第で資産を増やすこともできるんですが、一番お得なのは、掛け金が全額所得控除されるうえに、運用中に得た利益にも税金がかからないこと。年収500万円の会社員が毎月2万円をiDeCoで積み立てると、年間の所得税の節税額は約5万円にもなりますから、仮に運用がうまくいかずに元本を少し下回っても、トータルで損をする可能性は低いでしょう。55歳くらいからの5年間でも入っておくことをオススメします」

 正しい情報を知り、お金をしっかりと国から“もらって”ください!

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