世界で初めて冷凍保存された男。ジェームズ・ベッドフォードの遺体まるごと冷凍の背後にあるストーリー(アメリカ) (3/4ページ)

冷凍保存した遺体を蘇生できる見込みについては、今のところかなり薄く、科学者たちの間では、希望を売るような行為ですら非倫理的であるとの見解もある。
仮に医学のブレークスルーが本当に起きたとしても、ベッドフォード博士のようにあらっぽいガラス化手順で冷凍保存された遺体が蘇る可能性は、ほとんどなさそうだ。
きちんとしたガラス化――すなわち氷の結晶で組織が破壊されることなく、体液を固体ジェルに転換できるようになったのは1980年代のことだ。
しかも、ベッドフォード博士に不凍液として使われたジメチル・スルホキシドは今ではもう使われていない代物で、その脳が修復不能なほどにダメージを受けている可能性は、かなり濃厚だ。

・不治の病におかされた人の最後の希望
にもかかわらず、アルコー延命財団のプレスリリースによれば、博士は「深い昏睡状態にも似た仮死状態」にあるという。現在、法的には生きていないが、死んでもいないのだそうだ。

冷凍保存技術は、ベッドフォード博士の時代よりもずいぶんと進歩したが、それでもこれが役立つのかどうかについて、きちんとした証拠はない。
分かる範囲では、冷凍保存を受けた患者は、死んだときの状態を保つためのガラス化によって、修復不能なダメージを受けている可能性があるということだ。