世界で初めて冷凍保存された男。ジェームズ・ベッドフォードの遺体まるごと冷凍の背後にあるストーリー(アメリカ) (2/4ページ)
まず医療用不凍液が血管に流し込まれ、またその間、脳のダメージを最低限に抑えるために肺に酸素が送られた。
その後遺体をドライアイスでマイナス79度に保たれたカプセルに横たえ、さらにマイナス196度の液体窒素に沈められた。
それから2年間、ベッドフォード博士の遺体はアリゾナ州フェニックスの施設で保管されたのだが、その後にカリフォルニア州で新しく作られた施設に移送され、さらに8年後、再び別の施設へ移された。
その間、息子と妻は「バカなことはよせ」と迫る親族と戦わねばならなかった。冷凍保存の費用と長引く法廷闘争のおかげで、博士が残した10万ドルはとうに尽きていた。
あるときなどは、高額な保存費用に嫌気がさした息子が、父の遺体を小さな倉庫に移し、そこで定期的に液体窒素を補給していたこともあった。
1982年に遺体はアルコー延命財団に託され、以来博士はそこで安らかな眠りについてる。はずだが、遺体の保存状態についてははなはだ疑問だ。
・拙い冷凍保存のせいで遺体にダメージ
1991年の検査では、上半身・首・腕が変色し、感染して炎症を起こしたかのように赤くなっていることが判明した。
また鼻は、保存の準備段階で使われたドライアイスのせいで押しつぶされていた。さらに胸の部分の皮膚にもひび割れがあった。
もしベッドフォード博士が蘇って鏡を覗くようなことがあれば、ほとんど幽霊のような自分の姿にぎょっとすることだろう。