巨人・原辰徳はランキング9位…プロ野球「史上最高の監督」

日刊大衆

写真はイメージです
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 球史に名を残す指揮官の中から特に優秀な人材を本誌がピックアップ。はたして、その頂点に輝くのは誰?

 プロ野球の長い歴史の中で、最も優秀な監督とは、いったい誰なのか? そんな野球ファン永遠の疑問に答えるべく、今回、本誌では球界関係者や記者、球界OBに「史上最高の名監督」を徹底調査。勝利数や優勝回数、さらには采配、育成力といった能力評価も加味し、ベスト30人を選出。独自ランキングを作成した(全順位は文末に掲載)。ランキングには、球史に残るレジェンド監督の名前が並んでいるが、注目すべきは、その中に現役監督も含まれていること。昨年、西武を10年ぶりのリーグ優勝に導いた辻発彦監督が27位。その西武をCSで破り、さらに2年連続日本一に輝いたソフトバンクの工藤公康監督が26位に。そして22位には昨季、セ・リーグを制した広島の緒方孝市監督がランクインしている。「リーグ3連覇は球団史上初の快挙。スカウトと育成に定評のある広島とはいえ、それだけでこの結果は残せない」(スポーツ紙記者)

 野球解説者の江本孟紀氏も、「日本シリーズで勝っていないが」と前置きしつつ、「連覇ができてこそ、名監督。今の野球で3連覇なんて、なかなかできない」と、評価する。緒方監督の采配の秘密、それは1・2軍のスタッフと密に連絡を取る“コミュニケーション力”だという。「常に選手の状態を的確に把握しているので、起用するとビシビシ当たる。選手側もチャンスをもらえるから、いつもベストな状態でいることを心がける。この好循環が広島の強さの理由ですね」(球界関係者)

 4連覇のかかる今季、FAで主軸の丸佳浩が抜けた穴を、どう埋めるのか、緒方監督のお手並み拝見だ。

 19位は、日本ハムの栗山英樹監督。評価されたのは、大谷翔平の“二刀流”を完成させた育成力だ。「球界OBたちの強い反対を受けても、栗山監督は二刀流を押し通した。しかも前例のない中、大谷の起用法を考え、投手としても打者としても結果に結びつけたわけですからね。称賛に値しますよ」(全国紙記者)

 大谷は入団2年目に、ベーブ・ルース以来となる“2ケタ勝利&2ケタ本塁打”をマーク。栗山監督の常識に捉われない野球観は、大谷の稀有な才能を見事に引き出した。「大谷の二刀流が、昨季MLBを席巻したことを思えば、栗山監督の功績は再評価されるべきでしょう」(スポーツ紙デスク)

■ジャイアンツの名将が上位に

 現役監督の中で最上位となったのは、今季巨人の指揮官に復帰した原辰徳監督で、第9位とトップ10入り。「原監督は、第二次長嶋政権で英才教育を受けた球団きっての名監督。今季、低迷する巨人再建を託されたのも、球団内外の高い評価ゆえです」(元巨人番記者)

 現役時代には“若大将”と呼ばれていた原監督だが、監督としての彼は、そんな爽やかなイメージとはほど遠いという。「勝つためには手段を選ばない、まさに“勝負師”。なりふり構わぬ大型補強はミスター以上だし、選手起用も完全実力主義。勝利への非情さは、ミスターも一目置くほど」(前同)

 原監督が、2度の3連覇を含むリーグ優勝7回、日本一3回という圧倒的な結果を残せたのは、そんな勝利への執念があってこそだったようだ。「ミスターは、原監督に“巨人は常勝であるべき”という信念を叩き込んだ。彼は、それを忠実に実行しているんです」(同) 現役最高位の名将がドン底の巨人を、どう復活させるのか、注目だ。

 そんな原監督の上には、巨人軍の先輩スターが名を連ねた。第7位の王貞治監督は、巨人で5年指揮を執った後、福岡ダイエーの監督に就任。「まだ新興球団だったダイエーを、連覇できるまでの強いチームに育て上げました」(ベテラン記者)

 巨人では優勝1回で解任。ダイエー監督就任直後も、乏しい戦力で、なかなか結果が出ず、ファンから生卵をぶつけられたことも。「王さんは、最初からいい監督じゃなかった。勝ちを重ねて、だんだん“名将”になっていったんだよ」

 こう語るのは、王ダイエーで助監督を務めた野球評論家の黒江透修氏だ。「実は王さんは、すごい激情家。ダイエー就任当初は、選手がふがいないプレーをすると、“なんで、こんなことができないんだ!”と怒って机を叩いたりしていた。でも、その後、王さんは変わった。選手を信じて、我慢するようになっていったんだ」(前同)

 王氏が辛抱強く、選手を指導していくと、チームには徐々に勝ち星が増え始める。そして、就任5年目に日本一を達成。そこから、現在のソフトバンクへとつながる“常勝軍団”の土台を作っていったのだ。「王監督といえば、WBCでの采配も忘れちゃいけませんよ。あれだけプレッシャーのかかる舞台で、イチローをはじめとした超一流の選手たちをまとめ、優勝という最高の結果を出したんですからね」(スポーツライター)

■長嶋茂雄監督は松井秀喜らを育成

 苦労の末、名監督となった王氏の盟友・長嶋茂雄監督は第5位にランクイン。「現役時代の華々しさがあるだけに、監督としての手腕は過小評価されがちですが、指揮官としても間違いなく優れています」(巨人関係者)

 巨人歴代2位となる1034勝をマークしている長嶋監督だが、「松井秀喜をマンツーマン指導で稀代のスラッガーへと成長させたり、原辰徳に帝王学を叩き込んで、巨人屈指の名将に育て上げたりと、人材育成の功績が非常に大きい」(ベテラン記者)と、記録に残らない部分を高く評価する声もある。「FAでスター選手をかき集めたのも、根底にあったのは“ファンを喜ばせたい”という気持ちだったといいます。“勝利の方程式”や“メークドラマ”なんてフレーズも実にキャッチーで、ファンの心をつかみましたよね」(元巨人番記者) 長嶋監督は、勝ち負けだけではない、野球の魅力を引き出した名将と言えるのかもしれない。

 さて、いよいよ、ここからはベスト3。まず第3位は、近鉄などで指揮を執った仰木彬監督だ。仰木監督の下でプレー経験のある、野球評論家の金村義明氏は、こう証言する。「僕は現役時代、8人の監督と野球をやってきましたが、仰木さんが間違いなくナンバーワン。相手や状況に合わせて繰り出す采配や、選手を育て上げる能力には、他の監督とは違うものがありましたね」

 仰木監督の手腕を象徴するもの、それは天才打者・イチローの発掘だろう。独特の“振り子打法”を首脳陣に問題視され、2軍で冷遇されていた高卒3年目のイチロー。新たに就任した仰木監督は、その非凡な打撃センスをすぐさま見抜き、1軍に抜擢した。「仰木監督がすごいのは、登録名を鈴木からイチローに替え、メディアに売り込んだこと。それだけ才能に惚れ込み、活躍を確信していたんでしょうね。結果、その年にイチローは大ブレイクして、MVPまで獲得。その慧眼には感服するばかりですよ」(記者)

 続く第2位は、野村克也監督。データを重視した“ID野球”で、通算1565勝を挙げた頭脳派だ。「ヤクルト、阪神、楽天と、戦力に恵まれないチームを率いて、これだけの成績。まぎれもない名将でしょう」(球界OB)

 南海時代には、4番・捕手・監督と、一人三役をこなしながら優勝。引退後に就任したヤクルトでは、万年Bクラスだったチームを“野村の教え”で改革し、3度の日本一に導いている。

 ランキングで6位に入った星野仙一監督も、野村監督を称賛していたという。「星野さんは阪神と楽天で優勝しましたが、どちらも野村監督の後任。後年、“ノムさんが選手に野球を教えていてくれた。オレの監督人生はノムさんに助けられた”と感謝を口にしていました」(球団関係者)

 野村IDの教え子たちは、指導者として各球団で活躍中。そういう意味でも、野村監督は日本球界に大きく貢献している存在だ。

■ランキング1位は川上哲治監督

 栄えある第1位は、川上哲治監督。言うまでもなく、巨人で“V9”という金字塔を打ち立てた名将中の名将だ。今回、ランクインした監督の中にも、川上監督の影響を受けている人物は多く、2位の野村監督は川上野球の信奉者であることを公言。

 前出の江本氏も、「王、長嶋がいたからV9できたなんて言う人もいるけど、ON以外は普通の選手。あのメンバーで9連覇できるなんて、監督の力以外にない」と、その手腕を称える。

 川上監督は、当時のメジャーから「組織で戦う野球」を、いち早く導入。選手に“フォア・ザ・チーム”の精神を教え込み、自分の役割を徹底させた。V9戦士の一人でもある黒江氏によれば、川上監督は選手に厳しい反面、“人情”もあったのだという。

「川上さんは厳しい監督だったけど、人間的に素晴らしい人。選手には“こうだから、こうやらなくちゃいけないよ”と、ちゃんと理論的に説明してくれた。V9選手の多くが名指導者となったのは、川上監督の教えのおかげ」(黒江氏)

 今回、名監督としてランク入りしたV9戦士と、その教え子たちの数は、実に9人。川上野球の遺伝子は、今も日本野球に受け継がれている。

 今後、伝説の名将・川上哲治を超える監督は誕生するのか、楽しみだ。

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