中小企業従業員の「賃金の不満」 解決法をまちがえると大惨事に? (2/2ページ)
これではかえって従業員は不満を溜め込むことになってしまう。
従業員の賃金への不満を解消するのに必要なのは、ただ賃金を上げることではない。誰もが納得する評価制度がないと、賃金を上げても従業員の不満は解消しないのだ。
■「社長の判断で賃金が決まる」が必ずしも悪いことではない理由一方で、経営者が社員一人一人を総合的に評価して賞与を決めることは必ずしも悪いことではない。これが賃金制度にまつわる二つ目の誤解である。
会社が給与や賞与を決めるための評価基準を作って運用を始めると、これまで経営者だけが行ってきた人事評価の仕事は現場のリーダーに引き継がれることになる。当然、これまでやってこなかったことをやるのだから、たとえ評価基準がしっかりと作りこまれたものであっても、リーダーたちの評価スキルが追い付かない。こうなると、やはり従業員たちは納得できず不満を溜め込むことになってしまう。
特に中小企業の場合は、評価者となる中間管理職のスキルアップがなされるまでは、「社長の判断で賃金が決まる」状態の方がまだ従業員の不満は少ないのだという。
■社員のモチベーションは賃金制度では保てない賃金制度についての誤解の3つ目は「賃金制度で社員のモチベーションをあげることができる」である。本書によると、これもやはり正しくない。
賃金によるモチベーションアップには持続性がないのに加え、この方法で従業員のモチベーションアップを目指す会社は利益を常に人件費に費やし続けなければならない。原資の限られた中小企業ではそもそも難しいやり方だ。
そもそも、モチベーションアップに効く要素は、賃金以外の方が多いはずだ。たとえば、「会社の発展や将来性への期待」「自己成長の実感」「目標達成の充実感」「まわりからの称賛」「お客様からの感謝のことば」「仕事を通じた貢献意識」などが考えられる。しかも、これらの要素でモチベーションを上げる仕組みをつくることにほとんどお金はかからない。本来、真っ先に着目すべきなのだ。
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ここでは「賃金制度」にまつわる誤解を紹介したが、賃金制度を従業員のやる気を引き出し業績アップにつながるものにするためには評価制度が不可欠で、評価制度を作るには「会社をこうしたい」という経営者のビジョンが必要になる。
本書では、そのビジョンの策定から、評価制度の策定、そして賃金制度の具体的な策定と運用法まで紹介しており、人材不足や生産性の低さに悩む中小企業経営者に強い示唆を与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)