中小企業従業員の「賃金の不満」 解決法をまちがえると大惨事に? (1/2ページ)
賃金が上がりにくいと言われているなかで、自分の給料に不満を持つ人が増えていることは想像に難くない。
特に中小企業は一般的に大企業よりも賃金が低く抑えられがちである。
『小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方 「やる気のある社員」が辞めない給与・賞与の決め方・変え方』(山元浩二著、日本実業出版社刊)によると、従業員100人未満の中小企業の平均年収は379万円。
これは東証一部上場企業の従業員の平均年収665万円はおろか、従業員1000人以上の企業の平均年収である500万円と比べてもかなり低い。
■中小企業でありがちな「賃金の不満」のまちがった解決法中小企業の経営者からすると、これは深刻な問題だ。
ただでさえ人手不足に悩まされる中で、賃金に不満を持った従業員に転職されれば、残された従業員にかかる負荷は上がり、いずれは業績に跳ね返ってくる。
こうした事情から、それまで経営者が独断で決めていた給与制度を改め、従業員に納得感のある賃金制度を導入しようと考える経営者は多い。しかし、ちょっと待ってほしい。「いきなり賃金制度導入」はかえって従業員のモチベーションを下げ、生産性を落としてしまうという失敗の元なのだ。
■「賃金に対する不満は賃金制度で解決できる」はまちがいである本書の著者、山元浩二氏によると、給与制度や賞与支給基準を含めた賃金制度には3つの誤解がある。その1つが「賃金に対する不満は賃金制度(=給与・賞与を支給するためのルール)を設けることで解決できる」というもの。これは実はまちがいだ。
例として賞与のケースを見てみよう。
従業員が賃金について不満を持っていることを察知した経営者は、業績や個人の成績に応じて賞与を支給する制度を作るという対処をしがちだが、制度を作ってもルールに添って賞与の額を決めるのに必要なはずの「評価基準」がないというパターンは多い。
これでは賞与額が経営者の「総合的判断」に委ねられることになるため、従業員同士で「あいつより会社に貢献したのに、どうしてあいつの方が賞与がいいのか」ということになりやすいのだ。