陛下、殿下、猊下…平成最後に知っておきたい!皇室を中心に世界の要人に対する「敬称」を紹介

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陛下、殿下、猊下…平成最後に知っておきたい!皇室を中心に世界の要人に対する「敬称」を紹介

よく報道などで「てんのうこうごうりょうへいか」という単語を耳にすると思いますが、漢字で書くと「天皇皇后両陛下」、つまり天皇陛下と皇后陛下のお二人(両陛下)を意味します。

それなのに皇后陛下お一人を示す場合だと、なぜか「美智子さま」と諱(いみな・本名)+様づけで表すのはなぜなんでしょうか。

「皇后陛下」じゃダメなんでしょうか。むしろ「皇后陛下」じゃないと失礼なんじゃないでしょうか。他にも「皇太子さま」「愛子さま」「秋篠宮さま」……などなど。

もちろん、杓子定規に「いついかなる時も、正しい敬称を用うべし」とまでは言いませんが、知っている上で時宜に応じてくだけるのと、端から何も知らないのでは雲泥の差。

そこで今回は「敬称」のお話し、皇室の皆様がたを中心に、世界各国の要人たちに対する敬称も紹介できればと思います。

陛下(へいか)

これはご存知の方も多いと思いますが、日本の皇室においてはこちらの方々に用いられます。

一、 天皇陛下

一、 皇后陛下(天皇陛下の妻)

一、 皇太后陛下(先代天皇陛下の妻)

一、 太皇太后陛下(先々代天皇陛下の妻)

(※もちろん、その上の世代の方がご存命なら、陛下とお呼びするのが順当でしょう)

その語源は「陛(きざはし)の下」で、陛とは「階段」を意味します。

古来「畏れ多い方」に対して直接声をかけることが憚られたため、側近の者に向かって間接的に話しかけたことに由来します。

日本における史上初の上皇となられた持統天皇の御影。Wikipediaより。

ちなみに、皇位を次代に譲られた「上皇(太上天皇)に対しては陛下と呼ばないの?」という疑問を持たれたと思いますが、現在の皇室典範では「天皇陛下はご存命のあいだ、皇位を譲られない」原則が定められていることから、上皇陛下の存在は想定されていませんでした。

しかし、今度ご譲位が成れば、これまで永らく「陛下」とお呼びしてきた今上陛下を「殿下」とお呼びするのは不敬に過ぎましょうから、今後は「上皇陛下」の敬称も定着していくものと思われます。

殿下(でんか)

こちらも報道によってはお馴染みの方も多いと思いますが、先ほど紹介した「陛下」以外の皇族がたはすべて「殿下」とお呼びします。

先ほどの「陛下」は原則的に「皇帝クラス」の方に対して用いられるのに対して、こちらの「殿下」は「王クラス(皇帝の下)」の方に対して用いられます。

「殿」とは御殿・神殿など「建物」が語源で、こちらも直接声をかけることに対する憚りに由来します。

エリザベス1世女王殿下の肖像、Wikipediaより。

よくイギリス映画などで「女王陛下、ばんざい!」と言ったセリフを見聞きしますが、イギリス君主は「王」位であるため、厳密には「女王殿下」となります。

※ただし、英王室のエリザベス女王については昨今の社会通念(言葉の定着)から今上陛下の玉音(お言葉)にあっても「女王陛下」と呼ばれています。

猊下(げいか)

この辺りはあまり耳慣れないかも知れませんが、権威ある宗教者・聖職者に対して用いられます。

猊(げい)とは獅子(しし)の別名で、かつて仏陀の説法が獅子吼(ししく。獅子の吼える様子)のようであったことから、その説法をひれ伏して拝聴したことが語源です。

※そのため、説法者の席を「獅子座(or猊座)」とも言い、その下から声をかけた様子とも言われます。

現代ではローマ教皇猊下、ダライ・ラマ法王猊下が有名ですが、もし皇室でも天皇陛下がご出家あそばされれば「法皇猊下」とお呼びする日が来るかも知れません。

その他

皇室の方々に対して用いる機会はまずないと思いますが、他にもいろいろ敬称があるので、ざっと紹介します。

陸軍元帥・大山巌「閣下」の肖像(Wikipediaより)。旧軍では主に陸軍の将官以上に対して用いられた。

閣下(かっか。閣は高い建物を表わし、世俗の高官などに用いることが多い)

聖下(せいか。ロシア正教会の総主教=トップに対して用いた事例も)

座下(ざか。ロシア正教会の幹部クラスに対して用いる敬称)

台下(だいか。高い場所=台上にいる方に対する呼びかけ。聖職者に用いることが多い)

こうして見ると、敬意の表わし方には色んな情景があるものの、どれも「相手が自分より高い(尊い)位置にいる(ものとして扱う)こと」で共通しています。

「いちいち使い分けるなんてめんどくさい!」と思う方もいらっしゃるでしょうから、決して無理強いはしません。ただ、こうした日本語の肌理細やかな豊かさに、相手への心遣いが感じられて、筆者は好きです。

日常会話において、例えば「まさこさま」などと口にするとき、心の中で「皇太子妃殿下(こうたいしひでんか)」とルビを振ってみると、日本に永らく伝承されてきた「皇室」の重みが感じられるかもしれません。

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