人並み外れた観察眼!江戸時代の奇想の絵師・伊藤若冲っていったい何者?

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人並み外れた観察眼!江戸時代の奇想の絵師・伊藤若冲っていったい何者?

伊藤若冲。

江戸時代の中期、京都で人気を博した奇想の絵師です。今や若冲の名で展覧会を開けば数時間待ちの大混雑が起きるほど人気の若冲。彼は何者なのか?分かりやすくその生涯と作品を追います。

京都の裕福な青物問屋生まれ

若冲は、享保元年(1716)に京都の裕福な青物問屋の息子として生まれました。恵まれない境遇で生活のやりくりに苦労する絵師が多かった中、そういった事を気にせずに好きなだけ画業に打ち込めた若冲は、思いのままに生涯膨大な量の絵を描きました。

そしてそのほとんどが、生き物の姿を描いた動植物画でした。

『動植綵絵』の内「南天雄鶏図」Wikipediaより

中でも若冲の描くニワトリは天下一品。なぜこんなにリアルに描く事ができたかというと、生きて庭を動き回っているペットのニワトリを実際に観察して写生したから。

当時は本や師匠の絵手本を見ながら絵を描く事が多く、リアル感のある絵を描ける絵師はとても少なかったのです。それを若冲は軽蔑していたようで、「今のいわゆる画は、どれも画を描いたもので、物を描いたものを見たことがない」と嘆いていたとか。

代表作『動植綵絵』をまるごと寄付!?

彼の代表作としてよく取り上げられるのが 「動植綵絵(どうしょくさいえ)」。綵絵の「綵」は「彩」の意で、その名の通り絹地に驚くほど細やかに様々な動植物を描き込み、濃密に彩色を施した三十幅の超大作です。

制作期間は若冲43歳の宝暦8年(1758)から51歳になった明和3年(1766)とも言われ、40代のほぼ全てをこの「動植綵絵」に費やした事になります。そしてもう一つ驚くべきは、これだけの時間と労力を費やしたこの作品を、若冲は何のためらいもなく相国寺にまるまる寄付しているという事です。

それも裕福な環境にあった若冲だからこそできた行為であるには間違いないのですが、それにしても気前が良すぎてかっこいい!

『動植綵絵』の内「老松白鳳図」Wikipediaより

そんな彼の作品は、2月9日から4月7日まで東京都美術館にて開催されている「奇想の系譜展」にてたっぷり堪能することができます。

若冲、国芳、芦雪、白隠…なにこのメンツ!江戸絵画のアヴァンギャルドな絵師8人が集結「奇想の系譜展」

大ブームを巻き起こしている若冲が魂を込めて打ち込んだ作品の数々を、ぜひ皆様の目でお確かめください!

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド

参考文献:辻惟雄「奇想の系譜」

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