おならで妖怪を退治!ユーモラスな江戸時代の妖怪絵巻「神農絵巻」

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おならで妖怪を退治!ユーモラスな江戸時代の妖怪絵巻「神農絵巻」

どこかユーモラスで味がある『神農絵巻(神農化物退治絵巻)』

妖怪漫画のルーツ?

ひょっとしたら、この絵巻は日本の妖怪漫画のルーツともいえるかもしれません。絵巻の詞書には『猿蟹合戦』などの昔話についての言及があり、構成には『桃太郎』や『酒呑童子』などの影響もみられることから、この絵巻の成立自体は江戸時代以降と考えられています。

『神農絵巻(神農化物退治絵巻)』兵庫県立歴史博物館蔵

絵巻の主役である神農は、古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人で、人々に医療と農耕の術を教えたといわれています。

このことから、神農は、医薬と農業を司る神とされています。薬王大帝(やくおうたいてい)、五穀仙帝(ごこくせんてい)とも呼ばれています。海をわたって日本でも信仰されるようになりました。

中国の歴史書に出てくる神農(wikipediaより)

絵巻の全体的な話のあらすじはこうです。

その昔、暴れる妖怪たちに業を煮やした農民は、神農に妖怪退治を願いました。

神農は、猿丸太夫、犬坊丸、鳥海弥三郎をお供に従え、彼らに命じて芋や栗をたくさん茹でさせ、妖怪退治に出発。一行は遭難者と偽って、妖怪ヶ島の城郭に入り込み、妖怪の大王と酒宴を催しました。

画像出典:中世絵話集め

その晩、妖怪たちが寝静まった後、四人は芋や栗を腹いっぱいに食べ、大砲のような屁を放って大暴れ。たまりかねた大王は四人に宝物を差し出し、許しを請うのでした。

誰によって何の目的で描かれたのかは不明

この絵巻は誰によって何の目的で描かれたのかは知られていません。もしかしたら酒に酔った画家が、余興として冗談半分に描いたものが伝わっているのかもしれません。

ただ一度みたら忘れられない独特のタッチが、この絵巻を見た人たちの記憶に残るのかもしれません。この絵巻では、妖怪だけなく、神農たちも、親しみやすいユーモラスなタッチで描かれています。

神農は中国では本来、畏怖されるものとして存在していました。ところがこのお話のように、誰からも親しまれる対象へとイメチェンをし、長く続く人々からの人気を獲得したようです。

参考:別冊太陽にほんのこころ 妖怪絵巻-日本の異界をのぞく-中世絵話集め

神農絵巻(神農化物退治絵巻)

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