「髭」「鬚」「髯」…どれもヒゲ。3つも漢字がある理由はヒゲの生える場所で使い分けるから

Japaaan

「髭」「鬚」「髯」…どれもヒゲ。3つも漢字がある理由はヒゲの生える場所で使い分けるから

文章に「ひげ」と書く時、漢字変換すると三つの候補が出て来ます。

「髭」「鬚」「髯」

これらはいずれも人間(主に男性)の顔面下部より生じる体毛を表わす漢字ですが、それぞれ意味があるのは当然として、どのように使い分ければいいのでしょうか。(※人生において、あまりそんな必要に迫られることもないでしょうが)

今回は、その辺りについて調べたので、紹介したいと思います。

髭(ひげ、シ)

一般的に「ひげ」と書いて当てられることの多い漢字ですが、これは「口ひげ」つまり鼻の下から唇の上に生じるひげを指します。

陸軍中将・長岡外史の立派なひげ。Wikipediaより。

チャップリンの「ちょびひげ」から中国人のステレオタイプである「泥鰌ひげ」、そして厳めしい「カイゼルひげ」まで、古今東西さまざまなアレンジがなされています。

鬚(ひげ、シュ)

こちらは「顎(あご)ひげ」つまり顎の先端に生じるひげを指します。

立派な鬚の一例

長く伸ばすと仙人や山羊のような風貌となるので「ヤギひげ」などと呼ばれることもあります。単独で伸ばしている方はあまり見かけませんが、口ひげとセットで伸ばすと貫禄が出ていい感じですね。

髯(ひげ、ゼン)

この漢字はあまり見慣れないかも知れませんが、これは「頬(ほお)ひげ」つまり顔の側面に生じるひげを指します。

関羽の髯(黄色部分)。勝川春亭・江戸時代

髯と言えば、中国大陸における四大伝奇の一つ『三国志演義』で活躍した名将・関羽が「美髯公(びぜんこう)」として有名ですが、立派なひげの中でも殊更に髯(ほおひげ)がすぐれていたためそう呼ばれました。

まとめ

日本語ではこれらをまとめて「ひげ」と呼ぶことが多いですが、他の言語には口・顎・頬それぞれのひげを表わす言葉はあっても、日本語の「ひげ」に該当する言葉(総称)はないそうです。

諸外国ではひげに対するこだわりが強いのか、手っ取り早く「ひげ」と十把ひとからげに呼ぶなんてとんでもない!と(もしかしたら)思っているのかも知れません。

「ひげ税(文明開化に伴うひげ規制)」の諷刺画。18世紀・帝政ロシア

日本では江戸時代以降、あまりひげは一般的ではなくなりましたが、今でも男性らしさの象徴として、彼らの表情を魅力的に彩り続けています。

「髭」「鬚」「髯」……もし文章で書く機会があったら、ちょっと意識して使い分けてみるのも楽しいものです。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「「髭」「鬚」「髯」…どれもヒゲ。3つも漢字がある理由はヒゲの生える場所で使い分けるから」のページです。デイリーニュースオンラインは、日本語・日本文学漢字雑学ヒゲカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧