視聴率爆死『いだてん』が、“まだこれから”なワケ

日刊大衆

※画像はNHK『いだてん』番組公式ホームページより
※画像はNHK『いだてん』番組公式ホームページより

 大河ドラマいだてん~オリムピック噺~』(NHK)は、主人公の金栗四三(中村勘九郎/37)たちがオリンピックの地、ストックホルムに到着し、いよいよ「オリンピック」という物語最大のテーマに挑もうとしている。まずは3月3日放送の第9話を振り返ってみよう。

 シベリア鉄道で一路、ストックホルムを目指す四三たち。たび重なるトラブルを乗り越え列車の旅を続ける一方、日本では嘉納治五郎(役所広司/63)が日本選手団監督の大森(竹野内豊/48)が病気を患っているということ、そのためにオリンピックを目にするラストチャンスだったことを告げる。その後、四三はシベリア鉄道の車内で三島弥彦(生田斗真/34)とオリンピックでの活躍を誓い、ワインで乾杯。ついに、オリンピック開催の地、ストックホルムに降り立つのであった。

 気づけばもうオリンピックで、肩透かしな感すらある。「もうクライマックス!」と驚いている人も多いだろうが、ご安心を。中村が演じる主人公の金栗四三はこれから壮絶な人生を送るので、これからもたくさんのクライマックスが発生するはずだ。

 ネタバレ必至で彼の人生をざっと説明してみよう。まずストックホルム後には結婚。次の五輪でのメダル獲得を目指し練習を重ねるが、4年後のベルリンオリンピックは第一次世界大戦のため中止。しかし不屈の精神で、その後のアントワープ大会とパリ大会に出場をする。そう、なんと計3回も五輪の場面があるので、ドラマもストックホルム五輪だけに焦点を当てて終わりそうにない。むしろ、メダル候補といわれたにもかかわらず出場が叶わなかったベルリン大会あたりが、四三の精神描写が多く、見どころとなるかもしれない。

 さらに四三は箱根駅伝創設のため、尽力した人としても知られる。日本マラソン界の発展を目指し奔走する姿は、水泳の発展のために活躍し、東京五輪招致を成功させた本作後半戦の主役、田畑政治(阿部サダヲ/48)の姿ともだぶる。2人の主人公がどのようにバトンをつなぐかも注目すべきだろう。

■放送期間が長い大河ドラマならではの荒業

 考えてみればクライマックスの連発こそ、大河ドラマ伝家の宝刀。たとえば昨年の『西郷どん』では西郷吉之助(鈴木亮平/35)が島津斉彬(渡辺謙/59)と出会ったのを皮切りに、2度の島流し、倒幕運動、戊辰戦争、江戸無血開城、明治政府との対立、西南戦争と月イチペースで壮大な事件が起こり、大きなクライマックスを迎えた。普通のドラマなら見どころの連発は見ていてしんどいが、大河ドラマはクライマックスを何度も見せつけ、視聴者を虜にしている。それは1年間続く歴史ものだからこそできることであり、この手法が『いだてん』復活の起爆剤になるのではないだろうか。

 先ごろ、『いだてん』は新キャストを発表した。寺島しのぶ(46)、黒島結菜(21)、夏帆(27)、柄本佑(32)と豪華な面々だ。新キャストは四三が活躍する大正編に登場するそうなので、四三の五輪以外での奮闘も濃厚に描かれることは確実だろう。今後はオリンピック選手も続々と登場するはずなので、「登場人物をよく知らない」という問題も解決できるかも。ぜひクライマックスをたくさん作って、低視聴率ドラマというレッテルを引っぺがしてほしい。(ドラマライター・半澤則吉)

※画像はNHK『いだてん』番組公式ホームページより

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