認知バイアスの恐ろしさ。ブラックな職場では、いじめの被害者が加害者と思われている場合が多い(米研究)
photo by istock
ブラックな職場では、正しい評価がなされず、不当な扱いを受けている被害者なのに、加害者とみなされることがあるようだ。
上司や従業員は、いじめている側といじめられている側を正しく認識していない場合が多いという。
一方、当のいじめた本人はといえば、上司に気に入られていさえすれば、いじめは大目に見てもらえるというのだから被害者は踏んだり蹴ったりだ。
実際には優れた成績を収めていても、嫌がらせやいじめの被害者になってしまうと、無能というレッテルが貼られる危険もあるという。
これらは、『Journal of Applied Psychology』に掲載された、被害者に対するバイアスについての研究から明らかになったことだ。
・被害者なのに加害者と思われている
アメリカ・セントラルフロリダ大学のシャノン・テイラー氏らは、4つの研究からブラックな職場でのバイアスについて救いのない事実を明らかにした。
最初の2つの研究では、従業員とその上司に質問に回答してもらいった。
その結果、上司はいじめの被害者を、実はいじめている加害者と評価する傾向があることが判明した。

後半の2つの研究では、ある従業員の仕事の成績・他人の扱い方・他人からの扱われ方の説明から、参加者にその人を評価してもらうという実験を行なった。
その結果、参加者には、被害者は他人を不当には扱っていないと事前に伝えられていたのに、被害者の方がいじめる側だとみなされていた。
また、いじめの被害者になったことで仕事の成績まで低く評価されてしまうことが明らかになった。
さらに4つの研究のいずれも、いじめている本人は、上司から優れた業績を上げていると評価されていれば、その加害行為によっても社会の基準から逸脱しているとはみなされないことが示された。
・認知バイアスの恐ろしさ
テイラー氏らは、こうした間違った評価が下されるのは、「ハロー効果」や「ホーン効果」などに似た認知バイアスのせいだと考えている。
ハロー効果とは、ある専門家は専門外のことについても詳しいと錯覚したり、容姿のいい人は中身もいいと思えたりするなど、長所によって短所が隠されてしまう効果のことだ。
ホーン効果はその反対に、短所によって、長所がかき消されてしまう効果である。

photo by istock
・管理職は認知バイアスに対処するための訓練を
有能ではあっても態度が悪い人間が、いつまでたってもお咎めなしというのは、よくある話だ。
他方、そうした人間から被害を受けてしまった犠牲者が、SNSなどでかえって非難されるという事態も往々にしてよくある話である。
今回の研究では、これが現実であるという裏付けが得られてしまったわけだ。
テイラー氏は、管理者になれば、こうしたバイアスに対処するための訓練を受けるべきだと話す。その第一歩は、こうしたバイアスが自分にもあると自覚することだという。
References:Good grief: Victimized employees don't get a break | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo