堀ちえみの舌がんも…「軽い病」と間違う「死に至る病」

日刊大衆

写真はイメージです
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 ちょっとした体調不良が、実は生命をも脅かす大病の前兆かもしれない。知って得する転ばぬ先の医療特集!

 2月19日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。タレントの堀ちえみさん(52)が自身のブログで、舌がんと診断されたことを公表したのだ。「ブログによると、堀さんは昨年夏にできた口内炎がなかなか治らず、悩んでいたようです。病院で診てもらって薬を処方されたものの、治るどころか、痛みもひどくなっていったのだとか」(芸能記者)

 レーザー治療を受けても快方には向かわず、症状は悪くなる一方。そこで違う病院で診察を受けてみたところ、舌がんであることが判明。すでに左首のリンパ節に転移した状態(ステージ4)だった。「あまりによくならないので、堀さんは自分の症状をネットで検索したのだそうです。それで口内炎ではないかもしれない、と大学病院に駆け込んだ。これが年明けの1月ですから、正確な診断にたどり着くまで、実に半年以上もかかったことになります」(前同)

 2月22日に舌の6割を切除する大手術を受けた堀さんは、現在も復帰に向けて闘病を続けている。彼女のように、重病を軽い病気と受けとめてしまう危険は、実は我々の身近にある。「芸能界では、2015年に亡くなった俳優の今井雅之さんも、今回の堀さんと同じようなケースでした。今井さんは胃の痛みを“おなかの風邪”と診断されましたが、別の病院で精密検査を受け、末期の胃がんであることが判明しています」(同)

 今井さんも、なかなか症状が改善しないため、何度も受診していたそうだが、そのたびに同じ病名を告げられていたという。このように“大したことない”と思っていた体の不調が、本当は死の危険すらある重病だったというケースは、実はけっして少なくない。自己診断はまだしも、病気の専門家である医師ですら、重病を軽病だと判断してしまうことも珍しくはないのだ。『五本木クリニック』(東京都目黒区)の桑満おさむ院長は、こう解説する。「一般論として、医師の中には“この病気だ”と思い込んだら、別の病気を疑わない人もいる。ですから、1〜2か月、最長でも3か月通院してもよくならないときは、セカンドオピニオンを受けるべきです」

 セカンドオピニオンの重要性については後述するが、取材を進めると、堀さんや今井さんのような「軽病と思ったら重病だった」というケースが多数確認された。ここからは、そのさまざまな病例を見ていこう。

●「立ちくらみ」岡田一郎さん(50代/仮名=以下同)のケース

 岡田さんは、1年ほど前から立ちくらみに襲われるようになった。だが、仕事が忙しく、食生活も乱れていたため、最初はただの貧血だと思い込んでいたのだという。だが、ある日、トイレで用を足した際、便が黒っぽいことに気づき、受診。胃がんを患っていることが判明する。

「女性なら月経などの関係で貧血は珍しくない。でも、男性がたびたび貧血になるようなら、重大病の可能性が高いんです」

 こう説明するのは、杏林大学名誉教授(医学博士)で、『身体が知らせる危険信号〜おもいッきりテレビ健康チェックシリーズ』(日本テレビ放送網)の著者でもある石川恭三氏だ。「貧血であれば、体がだるくなったり、疲れやすいのは当然。ただ、男性の貧血は、がんによる体内出血が原因であることが多いので、注意が必要です」(石川氏)

●「頭痛」斎藤浩さん(60代)のケース

 斎藤さんはある日突然、頭痛に悩まされるようになった。たかが頭痛と放っておいたが、痛みは続き、あげくは記憶力まで低下。認知症のような症状まで出るようになった。妻の勧めで受診すると、慢性硬膜下血腫であることが判明。頭を打撲したことにより、頭蓋骨内に異状(多くは出血)が出現して起きる病気だ。「思い起こせば、主人はその1か月前に転んで、頭を打ったことがあったんです。でも、小さなコブができた程度だったので、完全に忘れてしまっていました。まさか、あれが原因だったとは……」(斎藤さんの妻)

 慢性硬膜下血腫は、軽微な打撲でもなることがあり、歩行困難、認知症にまで発展するという。「症状の頭痛は軽いもので、頭がボーッとしたり、重く感じたりする程度。慢性の場合は、じわじわと血腫が脳に溜まるので、かなり時間がたってから症状が出ることも珍しくありません」(前出の石川氏)

●「咳と微熱」山本淳也さん(60代)のケース

 突然、咳と微熱が出るようになったという山本さん。「風邪が流行っていたので、“誰かにうつされたかな”と思って、近所の薬局で総合感冒薬を買って飲みました。でも、5日たっても症状はよくならなかったんです」(山本さん)

 そして、そのまま2週間以上が経過し、さすがにおかしいと病院へ。診断結果は、なんと肺結核だった。「微熱と咳に加え、たんの中に血液が混ざるような場合も、肺結核の可能性があります」(石川氏)

●「足のむくみ」林裕介さん(50代)のケース

 ある朝、ビジネスマンの林さんが、いつものように靴下をはこうとすると、ふくらはぎがむくんでいることに気がついた。「最近は、階段を上ると少し息切れするようになっていたので、てっきり運動不足のせいだと思いました。年も年だし、筋肉が落ちてしまったのかなと。まったく深く考えていませんでしたね」(林さん)

 ところが、その後、60キロだった体重が、わずか1週間ほどの間に3キロも増加。食事の量が増えたわけでもなく、さすがにおかしいと受診したところ、心不全と診断された。「心臓が悪くなると、ポンプとしての機能が弱まるので、どうしても足にむくみが出やすい。体重の増加も原因は同様で、水分の循環処理がうまくできなくなり、体の中に水分が溜まってしまうからです。当然、オシッコも出にくくなります。ちょっとした運動で息切れするようになったら、年や運動不足、肥満のせいなどと考えずに、かかりつけ医に相談してみてください」(石川氏)

●「腕の痛み」桑村健介さん(70代)のケース

 会社を定年退職した後は、悠々自適の生活を送っていたという桑村さん。ゴルフが趣味で、ある日、打ちっぱなしに行くと、右の二の腕に痛みを感じたという。筋肉痛だと思い、シップを貼って様子を見ていたが、いつまでたっても痛みは引かなかった。やがて咳まで出るようになり、知り合いの医師に相談したところ、呼吸器内科を受診するように勧められた。そして受診の結果、肺がんであることを告げられたそうだ。

「肺尖部(肺の上端)にがんができた場合、付近の神経が圧迫されて二の腕に痛みが出ることがあります」 こう解説するのは、医療ジャーナリストで、『死に至る病気の兆候を知る本』(サンドケー出版局)という著書もある牧潤二氏だ。

「その他に、肺がんの変わった症状として、ニキビができる場合もあります。また、肺がんによる咳は、よく薬局で売られているような薬が効かないのも特徴の一つです」(前同)

●「あざ」岡村賢さん(40代)のケース

 酒が大好きという岡村さんは、ある日、会社の同僚から「首に赤いあざができている」と指摘された。「飲んだとき、知らず知らずに、どこかにぶつけたのかと、全然気にしていませんでした」(岡村さん)

 だが、そのうちに手のひらまでも赤くなり、疲労感も強くなっていった。たまらず、病院に行ってみると、医師の診断は肝硬変だった。「赤いあざは、肝機能が低下し、いわゆる解毒作用が十分に行われなくなった結果、有害物質が蓄積したもの。マッチ棒の先などで押してやると、一時的に消えるのが特徴ですまた、有害物質の蓄積によって、男性なのに、胸が大きくなる場合もありますね」(前出の牧氏)

 病が進行して肝性脳症になると、手足の震えや意識障害などを起こすこともあるという。

●「腰痛」鈴木昌司さん(70代)のケース

 農業を営む鈴木さんは、腰痛に悩むようになり、シップで治療していた。だが、おなかに何か硬いものがあることに気づき、内科を受診。検査の結果、腹部大動脈瘤の診断を受けた。

「腹部大動脈瘤とは、動脈硬化により、おなかの動脈がコブ状に膨らんだ状態のこと。破裂すると高い確率で死亡します。コブが周りの臓器を圧迫するため、腰痛や腹痛などの症状が表れるんです」(同)

■セカンドオピニオンも大事

 ここまでさまざまな“間違い”の例を見てきたが、“気がつかないのも無理はない”と感じた人も多いのではないだろうか。さらには、医師の診察を受けながら症状が改善しない場合もある。そこで大事となるのが、冒頭でも触れたセカンドオピニオンだ。

 セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている担当医とは別の医療機関の医師の診察を受け、「第二の意見」を求めること。堀ちえみさん、今井雅之さんも、このセカンドオピニオンによって、真の病が明らかになっている。それでは、セカンドオピニオンを受けるためには、いったい、どのようにすればよいのか。

「まず担当医に、“セカンドオピニオンを希望する”と告げてください。受診先を紹介してくれたり、紹介状や必要な書類を準備してくれたりします。新たに別の病院に飛び込むのも一つの手ですが、最初から診療のやり直しとなるので無駄が多く、あまりお勧めできません」(前出の桑満院長)

 ただし、セカンドオピニオンには健康保険は適用できず、自費診療となる。だいたい数万円ほどの自己負担となるようだ。今回の記事をきっかけに、軽い症状でもけっして甘く見ず、自らの体と向き合ってほしい。

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