GPSをつけたまま死亡しているワシを発見。そこには移動した軌跡が全て記されていた(サウジアラビア)
サウジアラビア、ジーザーン州の湿地を散歩していた男性は、そこで意外なものを発見した。
体にGPS装置が取り付けられた状態で死んでいたソウゲンワシである。そこには所有者のメールアドレスも記載されていた。
GPSを調べたところ、このワシがこれまでに辿った経路がすべて記録されていた。とてつもない距離である。
ワシは雄大な生き物だ。威厳たっぷりの姿はもちろん、知性にあふれ、感嘆すべき狩りの技術を持っている。
もし、そのワシの旅について興味がある人ならば、このお話はきっと大いに好奇心を掻き立てられるだろう。
・カザフスタンでワシに装着されたGPS
サウジアラビア出身のファハド・キャッシュという男性が、湿地を散歩していたとき意外なものを見つけた。
image credit:Pikabu
ワシの死体である。近寄って調べてみると、首のあたりにGPS発信機が装着されており、そこに所有者のメールアドレスも記載されていた。
image credit:Pikabu
・驚くべきワシの移動経路
そのメールアドレスに連絡をしてみると、GPSはカザフスタンで取り付けられたことが明らかになった。
GPSには、ワシがこれまで辿った経路がすべて記録されていた。
ある研究者が、20羽ほどのワシにGPSを取り付け、1年をとおした移動の様子を調べていたのだ。そのワシはすでに何ヶ国にも立ち寄っていたが、不思議なことに海には近寄っていなかった。
以下のマップの紫色の線が、ワシが1年で移動した経路だ。
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・海を避け、1日に最長355キロを移動するワシ
ワシは中東諸国を横断しているが、なぜだかカスピ海と紅海は渡っていない。
研究を行なっていたのは「ブリティッシュバード」というチームで、ソウゲンワシ16羽の旅を追跡していた。
ソウゲンワシはエジプトの国鳥でもあり、草原、サバンナなどに生息する大型のワシだ。
1日の大半をのんびりと過ごすことが多いが、生活環境に対しては偏執的な一面を持つ。雨量の変化に応じて局所的に場所を変え、頻繁に長距離を移動する。
عقاب السهول Steppe Eagle
調査からは、ソウゲンワシが1日に最長355キロも移動することが明らかになっている。
また年間を通じたサイクルがあり、31.5%を越冬地で、41.9%を繁殖地で、残りの26.6%を渡りに費やしていることも判明した。
こうしたデータやマップからは、ワシが常に移動を続け、一生を旅をしながら過ごす生き物だということが裏付けられている。
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・なぜ海を避けてる?ネットの反応は?
ちなみにワシが海を避けているように見える理由について、はっきりしたことはわからない。
その理由についてネットでは、対岸が見えないことが原因ではと推測されていた。しかし、これは間違っているようだ。
というのも、紅海ではエジプト側からはサウジアラビアが見えるらしいからだ。陸上から見えるのならば、空を飛ぶワシならきっと海の対岸が見えることだろう。
もう一つの意見は、海には暖かい上昇気流がないというものだ。
もしワシが上昇気流を利用して旅をしているのだとしたら、これが利用できない海を渡るのは大変だ。だから陸上を好むのかもしれない。
References:faifaonline / mymodernmet/ written by hiroching / edited by parumo