東や南じゃダメなの?上皇の身辺警護を務めた「北面武士」が北向きに奉公した理由 (2/3ページ)
面とは顔を表わす「おもて」とも読み、直面する、などのように「向かう・向ける」という意味もあります。
武士たちが北や西に「顔を向けて」何をするかと言えば奉公に他ならず、その先には主君の存在があります。
もちろん警護の現場では主君に背を向けていることが多いのですが、あくまで観念的な話です。
望ましい主従の位置関係それを踏まえて、今度は武士たちの奉公を受ける立場から見てみましょう。
北面武士が北を向いて仕えている時、彼らと向き合ってその忠誠を受ける上皇陛下や法皇猊下は、当然(観念的には)南を向いています。
時に、神棚を設(しつら)えたことのある方はご存じと思いますが、お社≒神様の向きは南が最上、次いで東向きとなり、お参りする人間は、当然北向き、もしくは西向きとなります(※地形など諸事情により、例外もありますが)。
神様は、南向きがお好き(イメージ)
八百万(やおよろず)の神々の頂点におわす天照大神(あまてらすおおみかみ)の直統子孫である皇室は、神様と人間の媒(なかだち)ですから、皇室に対しては神様と同じく敬愛する姿勢が求められました。
そこで、皇室をお守りする武士たちは北を向き、西に向いて奉公したのであり、たとえ物理的に東側や南側を守っていたとしても、東面武士とか南面武士といったものは原則的にありえませんでした。
このように望ましい主従の位置関係を表わすため、往時の武士たちは主君に対して「北面」「西面」したのでした。