高僧が長寿である理由や過去の高僧の寿命、僧侶の葬儀について調べてみた

心に残る家族葬

高僧が長寿である理由や過去の高僧の寿命、僧侶の葬儀について調べてみた

WHOが発表した2016年の世界の平均寿命ランキングで、日本は女性が87.1歳で第1位、男性は81.1歳でスイスに次いで第2位となっていて大変な長寿国である。平均寿命が高い理由として、医療制度、公衆衛生の充実、脂肪摂取量の少ない和食を中心とした食生活、遺伝的要素、清潔好きで、入浴好きの国民性、健康に対する意識の高さなどがあげられよう。

■健康志向は強まるばかり

私は月に5~6回、トレーニングジムに通っているが、多くの高齢者の方々が黙々と運動に励んでおられる。又、日本ほど毎日のようにテレビで健康番組を放送している国もないだろう。健康に良いと紹介された商品が翌日品薄になるほどである。

今後も医学の進歩とともに平均寿命はますます延びるだろう。マスコミでも「人生100年時代の到来」を喧伝している。ただ、平均寿命には寝たきりや介護が必要で自立して生活できない期間も含まれており、これは女性で12年間、男性で9年間と言われているので、人に頼らないで生活できる健康寿命を延ばして、生きがいを持ち、充実した人生を送りたいものである。

■僧侶は長寿である

私はかねてマスコミの訃報報道を聞いていて、職業的に高僧と高名な画家は長寿の方が多いと感じていた。明確に職業別の寿命のデータはないようだが、愛知がんセンターの名誉院長の大野竜三先生が日本新薬の雑誌「京」189号に発表した研究では、僧侶は同時代に生まれた男性の平均寿命と比較すると19.4年長生きとのことである。

■高僧の亡くなった年齢を調べてみると

近年の有名な高僧が亡くなられた年齢を調べてみると、清水寺貫主大西良慶師は107歳で、男性長寿日本一であったし、永平寺貫首宮崎奕保師は106歳、龍源寺住職松原泰道師は101歳、天台座主山田恵諦師99歳、臨済宗妙心寺派管長山田無文師88歳などいずれも大変な長寿である。

平均寿命が短かった時代でも、家康の参謀天海僧正は107歳、親鸞聖人は89歳、一休禅師は87歳、白隠禅師は83歳とともに長寿である。因みに画家では小倉遊亀106歳、片岡球子103歳、奥村土牛101歳、梅原龍三郎97歳、中川一政97歳、熊谷守一97歳、鏑木清方93歳、前田青邨92歳、東山魁夷90歳、横山大観89歳、昔の画家でも葛飾北斎88歳、仙厓義梵(禅僧)87歳、富岡鉄斎(儒学者)87歳、雪舟(禅僧)86歳、伊藤若冲84歳など数多くの高名な画家が長寿である。

■高僧が長寿である理由

高僧が長寿である理由は(1)規則正しい生活(2)暴飲暴食せず、粗食である(3)毎日朗々とした大声でお経をあげている(4)修行により精神的に安定している、などをあげてみたが、お坊さんはどう考えているだろうか。

臨済宗妙心寺派宝泰寺住職 藤原東演師の書かれた「お坊さんに学ぶ 長生きの練習」を読むと お坊さんの長寿の秘訣は以下の通りだそうで、生活習慣によるものとのこと。

(1)呼・・・呼吸を調える
(2)食・・・節度ある食事
(3)心・・・感情のコントロール
(4)生・・・決まったルーチン
(5)経・・・声を出して読む

なお、高名な画家の長寿の秘訣については医学博士 霜田里絵氏の「一流の画家はなぜ長寿なのか」をお読みいただきたい。

■高僧の死は「遷化(せんげ)」と言う

高僧の死を「遷化(せんげ)」と言う。正しくは遷移化滅(せんいけめつ)で、遷化はそれを略した言葉である。

遷化とは大乗仏教で、菩薩が身体を他の世界に移して、衆生を教化することをいい、転じて高僧の死に用いる。しかし宗派によって違いがあるようで、天台宗では住職、副住職が亡くなると「遷化」で、その他の僧侶については「逝去」となる。曹洞宗では「示寇(じじゃく)」、日蓮正宗では「逝去」を用いる。実際には高僧でなくとも、お坊さんが亡くなられた時には、尊敬の念を持って、遷化を使うことが多いようだ。

■僧侶の葬儀と一般の葬儀の違い

僧侶の葬儀の構成は一般の葬儀と殆ど変わらない。もっとも大きな違いは引導の有無である。引導とは、すべての生きるものに対して、仏の道へ導くことである。葬儀の最後に行われるのが、引導の儀式で、故人を称え、彼岸へと導く法語を唱え、松明を模したものを棺や祭壇に置くこともある(浄土真宗では信者であれば、死後は必ず浄土へ行けるので、引導は無い)。しかし僧侶は生前成仏しているとみなすので、引導は渡さないということである。  

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