“どん底”視聴率にピエール瀧『いだてん』の逆境を、寺島しのぶは救えるか
大河ドラマ『いだてん〜オリムピック噺〜』(NHK)は4月14日放送の第14話から、新章がスタートする。これまでは日本人が初めて出場したストックホルムオリンピックを舞台に、金栗四三(中村勘九郎/37)の活躍と苦悩を描いてきたが、四三はオリンピックから帰国し、明治から大正へ元号が変わった日本が舞台となる。視聴率低迷に悩む本作だが、新章突入で起死回生になる可能性は高い。ここでは見どころを一気に見てみよう。
注目は新キャストだ。帰国した四三がかかわる人物のキャスティングが実に渋く、演技派ぞろいなのだ。東京女子高等師範学校の助教授、二階堂トクヨには寺島しのぶ(46)。日本体育協会会長、岸清一に岩松了(67)。そして大日本体育協会副会長の武田千代三郎に永島敏行(62)と、厚みのある布陣だ。
この中でも注目は主人公の四三との絡みも多そうな、二階堂トクヨを演じる寺島しのぶだろう。寺島は、なんと『いだてん』で大河ドラマは6作目という、NHKが好んで起用する大物。歌舞伎役者の七代目尾之上菊五郎(76)と富司純子(73)の娘という超サラブレッドなだけに、NHKのお抱え女優感も高いが、すごいのは血筋だけではない。
寺島は2010年の大河ドラマ『龍馬伝』では坂本龍馬(福山雅治/50)の姉、坂本乙女を元気に演じた。強気で芯のある大和撫子を見事に演じてきた彼女が、『いだてん』の救世主になるかもしれない。二階堂トクヨは女子の体育振興に尽力した人物で、日本女子体育大学の創設者として知られている。14話が初登場だが、有名な人物だけに、物語でも重要な役どころとなるはずだ。
加えて、ピエール瀧被告(52)に代わり、急遽ピンチヒッターとして『いだてん』に登場することとなった三宅弘城(51)も確実に話題となるはずだ。黒坂辛作役を引き継ぐのだが、三宅は本作の脚本家、宮藤官九郎(48)が所属する大人計画の主要メンバーということもあり、スッと物語になじんでくれそうだ。
■三宅弘城はNHKとの相性抜群
15年下半期の朝ドラ『あさが来た』では、ヒロインのあさ(波瑠/27)の嫁ぎ先、加賀屋の中番頭として実にいい味を出していた。三宅はこの作品で、演技派かつキャラの濃い俳優としての知名度を上げた。『あさが来た』のスピンオフ作品ではなんと主演に大抜擢と、NHKからの信頼も厚い。彼が視聴率回復の救世主となれば、最高の恩返しとなるだろう。
実は『いだてん』は3月31日の第13話で平均視聴率が8.5%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と、ワースト記録を更新してしまった。この放送回はオリンピックのマラソンで棄権した四三が自身の失態に落ち込むという、数字だけではなくテンションも下がる回だった。
しかし、今後はついにスヤ(綾瀬はるか/34)とも結婚するし、かの箱根駅伝の創設に尽力もする。さらに次のオリンピックにも出場するなど、楽しそうな見どころにあふれているのだ。四三が日射病で倒れるという、物語的にもどん底だった第13話が視聴率の底であると信じたい! (ドラマライター・半澤則吉)