第一次世界大戦時、弾丸から兵士の命を守った奇跡のコイン(イギリス)
image credit:HANSONS AUCTIONEERS AND VALUERS LTD
1889年に発行されたこのペニー硬貨には銃弾の跡が残っている。これは第一次世界大戦時、イギリスの兵士、トリケット・ジョンが身に着けていたもので、彼はこの硬貨により命を救われることとなる。
ジョンは3兄弟で、全員がイングランド東部リンカンシア州の実家を後にして、戦地へ向かったが、生きて帰ってきたのはジョンだけだった。
・戦場で生死を分けた1枚のコイン
この大戦は、新たな先進的武器の導入により、前例のない規模の戦死者を出し、ジョンの兄弟であるホレスとビリーも、800万以上の兵士たちと運命を共にして亡くなった。
しかし、ジョンは胸のポケットに入れていたペニー硬貨が命を救ってくれた。心臓を狙った銃弾を防いだのだ。
この硬貨は、ジョンが生まれる10年前、1889年に発行されたペニー硬貨である。
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・奇跡のコインがオークションにかけられる
この硬貨が2019年3月22日にオークションにかけられた。落札額は1700ポンド(約25万円)となり、ハンソンズ・オークションの最初の予想100~200ポンド(1万5千円~3万円)を大きく上回った。
その他の競売品には、英国の戦勝記念メダルや、ジョンの1918年の除隊証明書なども含まれていた。
・ジョンのその後の生涯
いつ、どこで、ジョンが危機一髪で死を免れたのか、正確にはわかっていない。
ハンソンズ・オークションの軍事関連品専門家のエイドリアン・スティーブンソンは、1917年の西部戦線ではないかと言う。
ドイツ兵が放った銃弾は、ジョンの胸ポケットの中のコインに当たって斜めに跳ね返り、ジョンの鼻を貫通して左耳を抜けて出た。
そのせいで、ジョンはその後の生涯、左耳が聞こえなくなった。
孫娘のモーリーン・クールソンによると、ジョンは、1918年9月に軍を名誉除隊し、家に帰ってきた。結婚し、8人の子どもをもうけ、郵便局長や電話交換手として働いていたという。
ジョン・トリケットと彼の命を救ったコイン
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モーリーンは、ハンソンズ・オークションが恒例で行う評価イベント広告を見て、このコインとジョンのその他の持ち物をスティーブンソンに提供した。
スティーブンソンは、使われている金属がほとんど価値がないこともあって、最終的にかなり低い評価額をつけた。
銃弾をブロックし、持ち主の生死を分けた日常品の話は、スティーブンソンにとって初めてではなかった。
聖書、髭剃り用鏡、シガレットケースなど、けっこうあるという。戦時中には、もしかしたらこれで命が助かるかもという可能性をあからさまにうたって、ぶ厚い鏡の宣伝を始める業者もいた。
「このペニー硬貨がなければ、トリケット家の子どもたちはなく、私も生まれていなかっと思うと、不思議な気持ちになります」モーリーンは言う。
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こうしたなんのことはない日用品に命を救われたと、モーリーンと同じことを言う家族がほかにももっとたくさんいるかもしれない。
モーリーンが、このコインをオークションに持ち込んで以来、榴散弾で破壊されたフラスコや、持ち主の命を救ったベルトのバックルなどが出品されるようになったという。
A Penny Which Saved A WWI Soldier's Life Set To Be Auctioned Off
References:goodnewsnetwork/ written by konohazuku / edited by parumo