サルの脳にヒトの遺伝子を移植し認知機能を進化させる実験が行われる(中国研究) (2/3ページ)
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・実験に対する倫理的な懸念の声も
この類の実験には、倫理的な観点から強い批判がある。
今回の研究を主導したス・ビン氏は、実験は大学の倫理委員会から審査を受けており、動物の権利に関する国際基準や国内外で推奨される科学慣行にもしたがったものだ、とその正当性を主張する。
長期的に見れば、こうした基礎研究は、病因学の分析や発達異常に起因するヒトの脳疾患の治療などについて、貴重な知見をもたらすとス氏。
だが、こうした主張に対して反対する声もある。人類学者のバーバラ・J・キング氏(米ウィリアム・アンド・メリー大学)は、メディアの取材に対しス氏の実験は「倫理の悪夢」と語っている。
「遺伝子を移植されたサルは、生き延びた数より死んだ数のほうが多いのです。すなわち実験方法は命にかかわるわけです。生き残った5匹にしても、今後どのような一生を送るのでしょうか。実験室に閉じ込められたまま生きるのでしょうか?」(キング氏)
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キング氏によれば、野生のマカクは母系社会で、メスを中心にグループを構成し、知性と好奇心をもって世界を探索しながら生きている。