不安すぎる原巨人…篠塚和典が「プロ野球を一刀両断」!

日刊大衆

不安すぎる原巨人…篠塚和典が「プロ野球を一刀両断」!

 プロ野球が開幕しても、話題の中心はやはりジャイアンツ。「伝説の名セカンド」が今季展望を熱く語る!

――優勝候補の一角として、順調なスタートを切った巨人。本拠地開幕戦となった4月2日の阪神戦では、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督が観戦に訪れるという、うれしいニュースもあった。そんな巨人を冷静な目で見つめる人物がいる。“巧打の二塁手”として活躍した、巨人レジェンドの篠塚和典氏だ。開幕直前の3月下旬、今季の巨人、そして長嶋氏について話を聞いた。

篠塚和典(以下、篠塚)打線のほうは選手がそろっているから、正直、あまり心配してない。これまで原(辰徳)がやってきた野球と同じように、1〜5番までは固定して、下位打線は調子のいい選手を相手によって使い分けていくと思う。1〜3番がちゃんと機能すれば、4番の岡本(和真)にチャンスが巡ってくる機会は多くなりそうだよね。そういう意味では、今年の得点力は4番以降の出来にかかっていると言っていい。不安があるとすれば、6、7番かな。ポジションでいうと、一塁とライトが安定しそうにないからね。

 個々の選手でいえば、やっぱり丸(佳浩)には注目が集まるだろうね。とはいえ、過度の期待は禁物。過去にFA移籍してきて大活躍した選手は数少ないんだから(笑)。もちろん能力は高いし、数字を残せる力はあるから、ファンはプレッシャーをかけないように、のんびり見守るほうがいいよ。

 ジャイアンツOBの僕としては、やっぱり生え抜き選手が気になるよね。ただ、若手で今年、伸びそうな選手はいないな(笑)。昨年2軍で活躍した選手は多いけど、やはり1軍レベルとは差がある。1軍に来たら厳しいと思う。期待したいのは、キャプテンの坂本勇人。彼には打線を引っ張る存在であってほしい。前キャプテンの阿部慎之助は、手を抜いている選手にはガツンと言うタイプだった。ときには慎之助にサポートしてもらいながら、坂本にチームをまとめていってほしい。その意味では、優勝のためには慎之助の役割も重要になるよ。

 若手だと岡本。今年、慢心していないかどうか、ちょっと心配なんだ。今の若い選手は、いい成績を残すと、心のどこかで油断してしまう。気持ちの持っていきようが本当に下手。だから最近の若手は、何年も活躍が続かないんだ。岡本の場合、昨年は3割・30本・100打点の成績を残したほどだから、相手の攻めだって厳しくなる。でも、そのうえで今年は数字を残さないといけない。プレッシャーをはねのけ、結果を残してこそ巨人の4番。岡本にとって、今年は勝負の年になる。

  そして、僕が個人的に今季のキーマンだと思っているのは、吉川尚輝。今年1年、彼を1番できちっと固定できるようなら、チームは変わる。彼には、チャンスをつかんで、岡本とともに将来の巨人を担う存在になってほしい。吉川尚は、それだけの実力が十分にある選手だと思うしね。

■投手陣は菅野智之以外に不確定要素

――投手陣に目を向けてみると、巨人には菅野智之という大黒柱がいる。しかし、それ以外の部分に不確定要素が多いと篠塚氏は語る。

篠塚  菅野は、いきなりポカーンと打たれることもあるけど(笑)、続けて同じミスをしない。だから今年もエースとして、最多勝を狙えるぐらいの結果を残してくれるんじゃないかな。エースの菅野以外も、先発陣は数がそろっているし、誰かが化ける可能性だってある。菅野と、あと2人の先発が2桁勝てれば大丈夫。

 むしろ不安なのは、中継ぎと抑え投手かな。畠(世周)を後ろに回すのも手だよね。先発はたくさんいるんだから、試したいと思う若手投手を、あえて中継ぎに回してもいいんじゃないか、と思う。もともと先発をやっているから持久力があるし、ときには負けゲームで投げさせたっていい。そうすれば、若手にとっていい経験になるし、首脳陣からすればテストもできる。チームにとって一石二鳥になるんじゃないかな。

――篠塚氏は、かつてコーチとして原政権を支えた経験がある。今回3度目の就任になる原監督は、どのような采配を振るうのだろうか。

篠塚  原は試合の流れを、しっかり読むタイプ。先のことを読んで、自分の思い通りにゲームを動かしたい監督だね。その姿勢は昔と変わらないと思うし、今年も自分の考える通りに試合を動かそうとするだろうね。だから、選手も監督の意図を考えながら野球をしないといけない。選手の様子も、原はベンチの隅からしっかり見ている。だから、試合にのめり込んでいるような選手をちゃんと使ってくる。ベンチでボーッと試合を見ているような選手は使わない(笑)。

 その点はミスターと一緒だよね。ミスターも選手のことをよく観察していた。代打で使う選手であれば、相手投手のタイミングに合わせてバットを構えているか、とか。原は、ミスターのもとで指導者デビューしたわけだし、大きな影響を受けているんじゃないかな。

■長嶋茂雄との思い出

――篠塚氏といえば、もともと長嶋氏にその素質を認められた存在だ。恩師でもある長嶋氏への思いは熱い。

篠塚  僕が入団したときの監督がミスターだったけど、同じ監督でもミスターの言葉となると、やっぱり大きな励みになった。地獄と言われた1979年秋の伊東キャンプが始まる前かな。ミスターは、“ここにいるメンバーで未来の巨人を引っ張っていくんだ”って、選手に声をかけたんだ。そんなことをミスターに言われたら、誰だって張り切るよね(笑)。その頃のミスターは、まだ若手の僕からすれば、近寄りがたいところもあった。でも、自らバッティング投手をやったり、守備練習で実践しながら教えてくれたりして、自分から選手とコミュニケーションを取ろうとしていたよ。

 そうやって一緒にチームを強くしようとしていたからこそ、80年にミスターが監督を辞めるときは、僕なんて気分がどん底だった。ミスターからすれば、自分が目をかけた選手が育ってきて、“来年こそ”って気持ちが強かったはず。そんな状況での監督辞任だから悔しかったと思うよ。それなのにミスターのほうから、こう、みんなを励ましてくれたんだ。「あの伊東キャンプは絶対にプラスになっている。それを生かすも殺すも、おまえたち次第だ。監督が替わっても、しっかりやれ」

  だから、ミスターが2度目の監督になったときには、周囲も“今度こそミスターを日本一に”って気持ちが強かったんだよね。ただ、このときは、ミスター自身がおとなしかったな。昔を知っている僕なんて、あっけに取られちゃったくらい(笑)。だから、僕が引退する2年ぐらい前かな。“選手はミスターとのやりとりを楽しみにしているから、もっと選手と接してください”って、ミスターにお願いしたんだよ。そうしたら「そんなの、簡単だよ」って、翌年は選手に声をかけてくれるようになった。そのへんは、すごく素直(笑)。

 ミスターは見ているだけで楽しい方。周囲にいる、こっちの気分が明るくなる。練習のときなんて、“どこにいるのかな?”って、いつも探していたもの(笑)。ミスターは人をひきつける何かを絶対に持っているよね。昨年は病気をして心配したけど、ミスターにはいつまでも元気であってほしい。周りも元気にしてくれる人だからね。

――最後に、篠塚氏に今年の巨人の順位を聞いてみた。

篠塚  巨人と広島の首位争いになるだろうね。巨人は圧倒的な戦力があるし、広島は、丸が抜けたとはいえ、チームの完成度が高い。僕は、直接対決で、どちらのチームが相手を食えるかがポイントになってくると思う。そういう視点で見ると、巨人は広島との相性が悪いんだよね。ただ、チームが優勝できるだけのポテンシャルは十分にあるから、今年の巨人は期待大だよ。というか、優勝してもらわないと困る。OBとして肩身が狭くなるからね(笑)。

【篠塚和典(しのづかかずのり)プロフィール】1957年、千葉県生まれ。75年ドラフト1位で巨人入団し、首位打者に二度輝くなど中心選手として活躍。94年の現役引退後はコーチも務めた。

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