地球上で最も高価な物質ベスト10(2019年版)

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地球上で最も高価な物質ベスト10(2019年版)
地球上で最も高価な物質ベスト10(2019年版)

image credit:C60-Fulleren-kristallin

 高価な物質と言うと何を連想するだろう?鉱物ならダイヤモンドやレアメタルが思い浮かぶかもしれない。

 だが物質という広い範囲でなら、他にも高価なものはたくさんある。ここでは地球上で現在、最も高価とされる10の物質を見ていこう。
※(1ドル/110円で換算)
・10. エクリズマブーー25,960円/グラム

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 世界で一番高価かつ合法的な医薬品。商品名は「ソリリス」。現時点では、発作性夜間ヘモグロビン尿症や非典型溶血性尿毒症症候群といった希少疾患に対して効果が見込める唯一の医薬品だ。

 これらは、免疫が自分の血液細胞を攻撃してしまい、死にいたることもある難病である。ただし、エクリズマブを服用した結果、患者の寿命が延びるという十分な証拠はない。

 高額であるために、途中で治療を諦める人も多い。


・9. LSD――330,000円/グラム

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 半合成の幻覚剤LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)は、非常に強力で、一度服用すれば12時間は深層意識の世界へトリップすると言われている。

・LSDを服用すると描く絵にどのような変化が起きるのか?自ら服用し自画像を描く実験を行った女性 : カラパイア

 高価である理由は、違法であるのはもちろんのこと、非常に製造が難しいことも関係している。繰り返しておくが、違法薬物なので、絶対に手を出してはいけない。


・8. プルトニウム――440,000円/グラム

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 あらゆる天然元素の中で最大の原子を持つプルトニウムは、冥王星(プルート)が名の由来。ウラン鉱床から少量のみ得られるレアアースだ。ウラン鉱石中にわずかに含まれていることが知られる以前は、完全な人工元素と考えられていた。

 銀灰色の金属で高い放射性を有するゆえに、主な用途は核兵器か発電である。

 プルトニウムの危険性は昨今では良く知られるところとなったが、放射線有害性がある。塵を吸い込んだだけでも命にかかわり、がんの原因になる危険な物質である。


・7. ターフェアイト――2,200,000円/グラム

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 ダイヤモンドより100倍はレアな、目もくらまんばかりに美しい宝石。色の範囲は、薄紫色からスミレ色、茶から赤、青から緑、無色透明である。

 もともとは同じく貴重な宝石であるスピネルと考えられていたが、ターフェアイトは複屈折である点でスピネルと異なる。

 スリランカの岩石層の中で発見された。主な構成成分は、ベリリウム、マグネシウム、アルニムウム。宝飾品としてはそれほどポピュラーではないが、コレクター垂涎のアイテムであり、ゆえに目玉が飛び出るような価格がつく。


・6. ベニト石――2,750,000円/グラム

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 極めて希少なケイ酸塩鉱物で、ブルーダイヤモンドとの異名があるベニト石。色はほぼ無色透明からスミレ色の範囲で、紫外線に当てると青い蛍光を放つ。

 1907年に米カリフォルニア州サンベニト郡で発見されたのが最初で、名称はこの地に由来する。当初、サファイアと考えられていたが、現在ではカリフォルニア州の宝石に指定され、サファイアより美しいと評される。


・5. トリチウム――3,300,000円/グラム

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 水素の同位体であり、三重水素とも呼ばれる。自然界では微量しか形成されない。宇宙線の作用によって地球の大気中で形成され、水の中にほんの少しだけ含まれる。

 放射性物質であるが、ほかの放射性物質に比べれば意外なほど安全である。

 これは私たちにとって幸運だった。雨に溶けていることだってあるし、飲料水の中にも含まれているのだから、もしトリチウムが危険であれば、私たちの生活は成り立たないことになる。

 現在の主な用途は、核兵器、中性子発生装置、核融合炉の研究である。過去には夜光塗料としても使われた。


・4. ダイヤモンド――6,050,000円/グラム

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 様々な高価な物質が発見されているが、それでもダイヤモンドは高い。世界で4番目に高価な物質だ。

 面白いことに、ダイヤモンドは特に希少であるわけではない。ではなぜ高いのか? それは優れた宣伝活動の賜物である。

 映画や広告などを通じて盛んに喧伝されることで、ダイヤモンドはいわば紳士淑女のマストアイテムとなった。

 地中の奥深くで、悠久の時を経て形成されるそれは、ほぼ100パーセント炭素でできている。超高圧が何の変哲もない炭素を美しい透明な結晶に変化させるのだ。

 名称の由来は、古代ギリシャ語で「征服しがたい」を意味する「アダマス」で、当時の人々はダイヤは神々の涙であると考えた。

 地球から50光年離れた場所には、「ルーシー」というダイヤモンドの惑星があるそうだ。その大きさは10の34乗カラットである。


・3. カリホルニウム――275,000,000円/グラム

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 カリホルニウムは馬鹿げたほど高価なだけでなく、恐ろしいほどの放射性を有している。不安定であるゆえに、もっとも危険な化学物質の一つである。

 最初に合成されたのは1950年のことで、キュリウムに高速のアルファ粒子を照射することで作られた。裸眼で確認できるほどの量が作られた元素としては、アインスタイニウムに次いで重い。

 非常に危険な物質だが、頸部や脳のがんなど、普通の放射線治療ではあまり効果が得られないような場合に使われる。

 その特性はあまり知られていないが、自然界で形成されることはなく、また高価であるゆえに研究もなかなか進まない。


・2. バックミンスターフラーレン――16,500,000,000円/グラム

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 カゴで編まれたサッカーボールのような分子。魔法の分子として知られており、発見者のハロルド・クロトー、ジェームズ・ヒース、ロバート・カール、リチャード・スモーリーにはノーベル化学賞が授与された。
 
 炭素で構成される、20の六角形と12の五角形からなる切頂二十面体で、「バッキーボール」という愛称もある。ちなみにバックミンスターフラーレンという名前の由来は、この分子構造にそっくりなジオデシック・ドームの考案者リチャード・バックミンスター・フラーである。

 内部が非常に広いために、どんな元素でも反応しないまま捕捉しておくことができる。

 この特性のために、絶縁体、伝導体、半導体、超伝導にまで利用することが可能。さらに潤滑、触媒、薬物送達システム、太陽光発電、抗酸化物質など、さまざまな応用法がある。法外な価格は、こうした有用性ゆえのことだ。


・1. 反物質――687,500,000,000,000円/グラム

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 反物質は、普通の物質とは正反対の性質を持つ粒子を特徴としており、どこにでも存在する。だが科学者によれば、反物質を地球に存在させるためには天文学的な費用がかかるという。

 反物質と物質は同時には存在しえないのだが、ビッグバンのその瞬間、物質が反物質を上回ることができた理由は大きな謎だ。

 現時点では、ごく僅かの反物質を生成できたのみだが、それは悪いことではないかもしれない。

 2京5000兆キロワット/時間というとんでもないエネルギーを放つポテンシャルがあり、1グラムあっただけで、核爆弾に匹敵する爆発を起こす恐れがあるのだ。

 よって、問題はその莫大な費用ばかりではなく、生産と保管のさいの安全性の点にもあるのである。それでも、温暖化によって化石燃料が好ましいものではなくなったこの時代、開発を進める価値はあるのかもしれない。

References:10 of the most expensive and most surprising materials on Earth. - See The Smile/ written by hiroching / edited by parumo
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