これまで『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』など、仕事ドラマでヒットを飛ばしてきた日曜劇場（ＴＢＳ系）。ドラマ版プロジェクトＸとでもいいたくなるような、熱きラインアップである。週明けへのエネルギー充電枠として定着しており、４月２１日スタートの『集団左遷!!』も放送前から注目を集めている。平成最後に、どんな下剋上砲弾をぶっ放してくれるのか？

　まずは主演の福山雅治（５０）だ。香川照之（５３）、三上博史（５６）、市村正親（７０）という、狂気を感じさせる俳優たちと対峙し、その甘いルックスを歪ませていくのは見どころの一つだろう。さらにこの作品が「確実に面白くなる」と確信できるのは、物語のキーパーソンに彼の名があるからだ。若き大ベテラン、神木隆之介である。

　同じ日曜劇場『あいくるしい』で「奇跡の子役」と名を馳せてから１４年が過ぎ、今ではもう２５歳。すっかり大人の男だ。そんな彼がすごいのは、天使〝神木キュン〟の面影を、しっかりと残して成長しているところ。芸能界にいながら、ここまでスレないのは、もはや才能。アイドル的なみずみずしさを失わず、芸歴の長さに比例した実力と信頼感を得ているのが、神木の強みなのである。

　映画では主役も数多くこなす神木隆之介だが、彼がキーパーソンとしてまわったときの破壊力はすごい。特に２０１０年のドラマ『ＳＰＥＣ〜警視庁公安部公安第五課　未詳事件特別対策係事件簿〜』（ＴＢＳ系）の一十一役では、圧倒的なカリスマ性を放ちながら、主役の戸田恵梨香（３０）と加瀬亮（４４）を“食う”ことはなかった。このバランス感覚。

■神木隆之介はドラマの守り神

　さらに１３年のドラマ『家族ゲーム』（フジテレビ系）の長男、慎一しかり、１７年の『刑事ゆがみ』（フジテレビ）の弓神適当の相棒、羽生虎夫しかり。神木が主役の横で笑っていれば、物語は一気にドラマ性を放ってヒットを予感させる。この座敷童子感はすごい。

　他の追随を許さないカリスマ性と神秘性を発揮する神木。しかし、脇に回れば惜しみなくそのオーラを主役に向ける。この使い分けの巧みさこそが、芸能界に入って２３年間、第一線で愛され続けている理由だろう。

『集団左遷!!』では、かつて幹部候補だったにもかかわらず、“ある事件”をきっかけにドロップアウトし、ダメ社員の一人となる滝川晃司役だ。恋愛要素が少なめのチーム戦では、神木の“守り神”な存在感が特に光り輝く。日曜の夜、それをしっかりと確認したい。（田中稲）