火星で初の地震観測か?地震の振動波と思われる音が公開される。 (2/2ページ)
地震となれるだけの強さを持つ波は、惑星サイズの地中探知レーダーのようなものなのだ。
地震波が地中を広まるとき、通過する物質に応じて速度が変わったり、反射したりする。これがその内部の構成を知る手掛かりになるのである。
残念ながら、今回の地震波は微弱すぎて、火星内部のことまで知ることはできなかった。それは地球であれば、プレート運動の騒音によって検出できなかっただろう類のものでしかなかった。
それでも今回のデータは、たとえ火星にはプレート運動がないのだとしても、地震がきちんと存在するということを証明してくれている。なんといっても、より微弱なサインならほかにも検出されているのである。
・月の地震「月震」に類似
なお4月6日のものは、それらより強いだけでなく、ほかの理由からも興味深いものだ。1969年から1977年にかけて月面の地震計によって記録された月震と非常によく似ているのである。
アポロ11号が設置した月震計 commons.wikimedia.
火星と同じく、月にもプレート運動はない。
ここにおいて震源となるのは、内部が冷却されるのに合わせて生じる、ゆっくりとしたわずかな収縮である。内部が収縮すると、それが外殻にストレスを与え、やがてヒビが入り、振動となる。
そして火星での振動についても同じプロセスによって生じているのでは? と推測されている。今後さらに火震が検出され、分析が進めば、いっそうくわしいことが明らかになるだろう。
とりあえず、今のところはインサイトのSEISが設計通りに機能しているということがわかった。揺れの微弱さを考えれば、すばらしい技術の勝利である。
月の地震が「月震」ならば、火星の地震は「火震」となるのか?
さあ、火星の地震学の始まりだ!
References:nasa/ written by hiroching / edited by parumo