武士も人間関係に一苦労?武士道のバイブル「葉隠」に書かれた他人の欠点改善ノウハウを紹介
「我が気に入らぬ言ほど、我が為になるものなり」
鍋島直茂(肥前の戦国大名・後の鍋島藩祖)
鍋島直茂肖像。Wikipediaより。
他人から欠点を指摘されるのはなかなか耳が痛いものですが、わざわざ言ってくれるのは親切心ゆえのこと、ありがたく受け入れたいものです。
しかし、中には「いくら正論だからって、言い方ってもんがあるだろう」と言いたくなる手合いがいるのもまた事実。
自分の正しさを大上段から振りかざし、ここぞとばかりに相手を糾弾するのは、形を変えたハラスメント以外の何物でもありません
本当に相手のためを思うなら、自分の正しさに驕ることなく、相手が受け入れやすいアプローチを心がけるもの。
かつて武士たちもそのような人間関係に心を砕いていたようで、今回は武士道のバイブルとして名高い『葉隠(葉隠聞書)』より、他人の欠点を指摘するノウハウについて紹介したいと思います(以下、原文は割愛します)。
意見の仕様、大いに骨を折ることなり……他人の欠点を指摘してあげるのは、本人のみならずコミュニティひいては社会のためになることですが、その実践は意外に大変なものです。
確かに、他人の欠点はよく見えるし、それを口に出すのは容易いのですが、多くの者は「お前のために欠点を直してやろう」と上から目線で意見してしまいがちです。
しかし、そのようなアプローチはただ相手に恥をかかせるばかりで誹謗中傷と何も変わらず、却って相手を意固地にさせてしまうかも知れません。
欠点の指摘が単なる自己満足や憂さ晴らし、あるいはネガキャンでなく、本当に相手のことを思っているなら、もう少し工夫が必要なのです。
まずは相手の性格をよく知り、相手の受け入れやすいアプローチを熟慮した上で、常日頃から自分の言葉を信じて受け入れてもらえるような人間関係を構築する必要があります。
また、話を切り出すタイミングも重要で、相手の欠点を見つけたその場で思いつきに言うより、例えば手紙に書くとか他愛ない雑談の最後にちょっと話したり、あるいは暇乞いの折にでも、自分の欠点をカミングアウトするような形で、言外に気づいてもらうのがいいでしょう。
その時も、言葉づかいはあくまでもソフトに、欠点だけでなく先ずは相手の美点を多く褒めるのがセオリーです。
欠点を指摘するのは相手のため以上に主君のため、天下のための奉公と心得て、多少の骨折りであっても相手の面子を最大限に重んじることで、みんながWin-Winになれるのです。
※『葉隠聞書』第一巻 一四より意訳。
まとめ自分の欠点に気づかせてくれる指摘は有り難いものですが、それを指摘する側が態度に出してしまうと、要らぬ摩擦を生じてしまうもの。
欠点を指摘するのも直すのも、すべて社会のためという謙虚な姿勢で、互いを高め合っていける人間関係を、現代の私たちも目指していきたいものです。
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