ダルビッシュの「スライダー」に小宮山の「シェイク」! プロ野球界を騒然とさせた“魔球”たち

日刊大衆

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 プロ野球の醍醐味と言えば、どこまでも飛んでいくような打球、ロケットのような速球、そして、凄まじい変化を見せる“魔球”。今回は名チームの名選手が繰り出した“魔球”を紹介したい。

■「巧みに投げ分ける世界最高峰の技術」ダルビッシュ有のスライダー

 ダルビッシュ有(現カブス・2005〜)。現役選手でありながら、その多彩な持ち球を『変化球バイブル』として一般にも公開している新時代の大エース。なかでも、スライダーは日米の強打者からも「視界から消える」と絶賛される逸品。理化学研究所の姫野龍太郎氏も「回転軸の違う3種のスライダーを意図を持って投げ分けているのは自分の知る限り彼だけ」と驚嘆した。

■「流浪のメジャーリーガーの最終兵器」大家友和のナックル

 大家友和(横浜ほか・1994〜2016)。横浜を皮切りに、日米、メキシコの10球団を渡り歩いた元メジャーリーガー。11年オフに受けた手術からの復活を賭して、肩、ヒジへの負担が少ないナックルボーラーへの転身を決意。1年のブランクを経て入団したBCリーグでは、富山・福島の両球団でナックルを駆使して活躍を見せた。

■「300もの勝ち星を積み上げたレジェンド」小山正明のパーム

 小山正明(阪神ほか・1953〜1973)。ナックルと双璧をなす不規則変化の“魔球”パームボールの第一人者。ムダのない合理的なフォームと「針の穴を通す」と言われた精密なコントロールで、歴代3位の320勝を積み上げた。その小山自身が「あの人がいなかったら、僕はいない」と挙げる先輩右腕・渡辺省三は、江本氏曰く「小山さん以上の変化球の使い手だった」とも。

■「先輩から伝承された“破壊的”魔球」前田健太のスライダー

 前田健太(現ドジャース・2007〜)。PL学園時代からの持ち球だったスライダーを、先輩・佐々岡真司から伝授された握りでアップデート。曲がり幅や緩急、縦横を自在に操る“宝刀”にまで磨きあげ、球界屈指の大エースへと成長した。メジャー移籍時には米メディアもそのキレをして「破壊的」などと報道。今季もメジャーリーガー相手に抜群の威力を発揮し続ける。

■「ハエが止まるほどの超遅球!」多田野数人のただのボール

 多田野数人(日本ハムほか・2004〜2017)。スライダーなど多彩な球種を持つ技巧派だが、彼を有名にしたのはやはり60km/h台の超スローボール、通称「ただのボール」。中継カメラの枠からも外れるほど山なりなうえに、スピードガンでも計測不能だったことから、ファンからは「消える魔球」とも称された。野球解説者の江本孟紀氏曰く「ただ遅いだけの球を投げるのは勇気がいる」。

■「鋭く落として1試合19奪三振!」野田浩司のフォーク

 野田浩司(オリックスほか・1988〜2000)。敵将・野村克也から「お化けが消えた」とコメントされるなど、阪神時代から一級品だったフォークを武器に、オリックスで覚醒。移籍1年目の93年からは、3年連続で2ケタ勝利&200奪三振をマークし、95年には現在も残る1試合19奪三振の日本記録を樹立した。なお、握りは江本氏が言う「縫い目にかけない」正統派。

■「投げる哲学者の”研究成果”」小宮山悟のシェイク

 小宮山悟(ロッテほか・1990〜2009)。バレンタイン監督のもとでロッテに復帰した小宮山が05年に開発したオリジナル魔球。人差し指と中指で挟んだボールを、独特のフォームから押し出すように投げることでナックルのような不規則変化を可能にした。また翌年には同じフォームで投げ込む速球「フェイク」も開発。実戦でも三振を奪うなど、大いにファンを喜ばせた。

■「欠点を特徴に変えた試行錯誤の魔球」佐藤義則のヨシボール

 佐藤義則(オリックス・1977〜1998)。指が短いせいでフォークが投げられなかった佐藤が、試行錯誤のすえに編み出したオリジナル魔球。親指と人差し指のあいだからボールを抜くようにして投げるカーブの一種で、フォークと同様の落差を生むことに成功した。現在は名伯楽として、ダルビッシュ有、田中将大、武田翔太らにその技術を伝授。エースへと育て上げている。

■「打者に迫りくる”火の玉”」藤川球児のストレート

 藤川球児(現阪神・1999〜)。05年に勝利の方程式“JFK”としてブレイク。驚異的な回転数で大きくホップするその直球は“火の玉ストレート”とも称され、翌年のオールスターではカブレラ&小笠原道大を相手に全球直球勝負。見事、連続三振に斬ってとった。姫野氏も「魔球と呼んでいい」と絶賛するほど、全盛期の球威は科学的にも折紙付き。

 豊富にあふれる映像や、最先端のデータ解析技術で「魔球の正体」がつまびらかにされつつある昨今。しかし、理屈は知識として頭に入れながらも、まだ見ぬ「スゴい球」への期待やロマンも忘れない。そんな野球ファンで僕らはいたい。

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