先に旅立っていった飼い主の棺に寄り添い、ずっとその場から離れようとしなかった犬の物語(アメリカ)
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犬は人間の親友だ。うれしいときも悲しい時も、その感情を共有し、無償の愛情で包み込んでくれる。深い絆で結ばれた犬と人間は最高のパートナーとなり得るのだ。
いつまでもずっと一緒にいられれば最高だけど、別れはいつか必ずやってくる。現生を生きるものに与えられた宿命だ。
たとえあの世でまた巡り合えるとしても、どちらかが先に旅立ってしまうととても悲しい。それは犬だって同じことだ。
5年間、ともに暮らした飼い主がこの世を去った。棺に納められた愛する人に、犬は最後の別れを告げるかのように、ずっとその棺をのぞき込んでいたという。
・深い絆で結ばれていた犬と飼い主
アメリカのノースカロライナ州に暮らしていたウィリアム・D “ビル”・シラーさんは、4月8日、76歳でその生涯を閉じた。
オハイオ州スヌーク郡カントンで生まれたビルさんは、その後フロリダに引っ越し2017年まで住んでいたが、健康状態が悪くなり、パートナーのアン・マリー・シブソープさんと一緒にノースカロライナ州に移って余生を過ごしていた。
ビルさんは、5年前に保護施設で引き取った犬のチーフをとても可愛がっていたという。
愛くるしい姿を見せるチーフ
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ビルさんとチーフの間には、離れられない深い絆が芽生え、親子のような関係だったとアン・マリーさんは話す。
だが、愛する飼い主と別れなければならない日が、チーフにやってきたのだ。
・棺に入った飼い主を食い入るように見つめ続ける
4月13日にビルさんの葬儀が行われ、生前親しくしていた友人や親族が集まった。
もちろん、チーフも葬儀に参列した。
ノースカロライナ州ハンターズビルにある葬儀会社のサム・ジェイムズさんは、これまでに何度も悲しみの瞬間に立ち会っているからこそ、愛する人の死に心を痛めているのは人間だけではないということを十分知っていた。
大切な人との最後の別れにおいては、犬でも「さよなら」をいう機会が与えられるべきだと、今回もチーフの参列を喜んで承諾した。
人々がビルさんとの最後の別れを行う中、チーフが取った行動は多くの人の心を打った。
チーフは、ビルさんが横たわる棺に近付くと、後ろ足2本で立ち、首を伸ばしてビルさんの顔に自分の顔を近づけた。
そして、かつていつもしていたように、ビルさんの耳を軽く舐めた。まるで「パパ、起きてよ」と言わんばかりに…。
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しかし、ビルさんが目を覚ますことはもちろんなかった。この光景を見ていたアン・マリーさんは、
チーフは、ビルが動かないことを知ると、大好きな飼い主の死を悟ったのか項垂れました。ビルの頭の横に自分の頭を寄せて、しばらくの間ずっと寄り添っていました。少しでもビルの側にいたかったのでしょう。
と話している。
・さようなら、パパ。あの世でまた会えるその日まで
棺をじっと見つめるチーフの子の写真は、葬儀に参列していたビルさんとアン・マリーさんの孫ニーナさん(12歳)が撮影し、SNSに投稿したものだ。
後の取材で、葬儀会社のサム・ジェイムズさんは次のように語っている。
犬がこのように棺の側で立って、亡き飼い主を見ている姿には胸を痛めます。愛する人に最後の別れを告げることは、人間同様、家族であるペットにとっても大切なことなのだと思います。
チーフに死の意味が理解できたのかどうかはわからない。別れの言葉を告げていたのかどうかもわからない。
だが最期にじっと飼い主の顔を見つめるつづけていたチーフは、きっとこの日のことを忘れないだろう。パパもあの世から、チーフを見守っていてくれているし、チーフが旅立つその日、虹の橋のふもとで待っていてくれることだろう。
葬儀後、ビルさんは故郷オハイオ州カントンの墓地に埋葬された。
References:goodfullness/ written by Scarlet / edited by parumo