『わたし、定時で』中丸雄一の棒演技に癒やされるワケ

日刊大衆

※画像はイメージです
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 ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)。トーンはけっして暗くないのだが、なんだろう、この心に重くのしかかるおもりのような後味は……。

 要領は悪いが無遅刻無欠勤でまじめな三谷佳菜子(シシド・カフカ/33)が、新人を“厳しい教育”で育てようとする第1話。内田有紀(43)が演じる賤ヶ岳八重が、育休から復活する気負いと難しさを描いた第2話。問題があればやめて解決、しかし本音はやめたくないという来栖泰斗(泉澤祐希/25)をフィーチャーした第3話。会社にいたいわけじゃないけど、家にいても同じだから深夜まで仕事をする吾妻徹(柄本時生/29)を描いた第4話……。

「あるある」がリアルすぎるというか、どれも自分の一部分、もしくは自分の周囲に見あたるコンプレックスばかり。ドラマを見ているのに、職場にいる錯覚さえ起こし、気が休まらない!

 ではヒロインの東山結衣(吉高由里子/30)が、そんな空気をけちらして定時の18時で帰るシーンで、爽快感が得られるかというと、逆だ。気まずさを残しつつも、無理やりでも定時に帰る彼女に、見ているこちらはヒヤヒヤするのである。見ているこちらの心は、職場に残されたままなのだ。

 そして「働き方改革なんて実際のところ、本当にできるのか?」という絶望的な考えすら出てくる。目をそらしたいのにそらすことができない。なかなかヘビーな、見応えのドラマなのである。

 そんな中、見事に緩急の「緩」の役割を果たしてくれているのが、結衣の婚約者、諏訪巧を演じるKAT-TUNの中丸雄一(35)である。中丸に救われるその理由は、まったく感じない力み、一定を保つテンションである。もちろん見方によっては、それは棒演技ともとれるのだが、視聴者の反応も「演技が変」と「癒される」という両極端のせめぎ合いとなっている。

■あえて笑顔を作らない中丸雄一のリアル

 筆者はといえば、完全に後者だ。彼の「必要以上に笑わない」演技に、毎回ホッとしている。中丸は、恋人の結衣に対して優しい言葉をかけるシーンでも、イチャイチャシーンでも、ニコニコしない。愛想笑いはなく素の顔でそれをやってのけるのだ。だからこそ気楽で、見ているこちらもなんの力も入れなくて済む。最初こそ違和感があったが、回を追うごとに、なんと自然でおおいなる包容力の持ち主なのだと、見方が変わった。

 特に新入社員の来栖が起こした動画トラブルで、結衣が巧の親にあいさつに行けなかったシーン。結衣が職場から電話で謝るのだが、ここでの中丸の演技は絶妙だった。「気にしないでいいよ」という言葉が本当に棒なのだが、無理な励まし感がなくて最高! 相手の罪悪感を溶かしてしまう中丸のこのテンションは、どんな名優でもなかなか出せない。

 最近では、中丸の登場を待っている自分がいる。このまま平和に結衣と結婚してほしい。間違っても結衣が、向井理(37)が演じる元婚約者の種田と元サヤになり、巧が身を引くなんて展開にはならないでほしい!(田中稲)

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