ネス湖に巨大生物は存在するよ、怪獣じゃないけどね。「ネッシーの正体は巨大ナマズ」説を唱える研究者(スコットランド)
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スコットランドの山あいに細長く湛えられた神秘的なネス湖。ここは言わずと知れた伝説のUMA、ネッシーがいく世代にもわたって目撃されてきた場所である。
1934年に大々的に報じられたネッシーを撮影したとされる写真は、のちにフェイクであることがわかったが、その後も目撃例が相次ぎ、ネッシーらしき何かが必ず潜んでいるはずだと信じている人も多い。
昨年、ニュージーランドの研究チームはネッシーのDNA調査を行うことを発表。まだまだ夢とロマンを捨てたくない熱いUMAへの想いだが、ネッシー研究家のスティーブ・フェルサム氏の見解は、ちょっと残念な感じのものだ。
ネッシーと思われる生き物はいるにはいるが、それはヨーロッパオオナマズであるというのだ。
・ネッシーの正体はヨーロッパオオナマズ
彼はこう語っている。
説明可能な現象です。あらゆる証拠に目を通し、目撃者の話も聞きましたが、一番ありえる線は、ヨーロッパオオナマズでしょう。
ヨーロッパオオナマズは、この地域においては外来種で、成長すると体長4メートルにもなり数十年生きる。
ヨーロッパオオナマズ(Dieter Florian/wikimedia)
正直に申し上げますと、ネッシーが怪獣だとは思っていません。目撃者の証言は、長く湾曲した背中を持つオオナマズの特徴とぴったり一致します。
フェルサム氏が研究を始めたのは24年も前のこと。仕事を辞め、すべてをネッシーの謎の解明に捧げてきた、筋金入りの研究家だ。
ソナーでは、湖に生息するどんな魚よりも大きなものが検出されています。年にせいぜい1、2度お目にかかれればいい方ですが。
こうした点も、ヨーロッパオオナマズ説を裏付けるという。
・ネッシーのイメージは化石によって作られた
ネッシーが世間で一大センセーションとなったのは、あの有名な「外科医の写真」が公表された1934年のこと。そのモノクロ写真には、今のネッシーのイメージそのままの姿が写し出されている。
Loch Ness Monster/wikimedia
だが、もっと以前の目撃証言は、それをウミヘビのような未確認生物シーサーペントのようなイメージを伝えていたという。
これに関して、4月に発表されたネッシーに関する研究は、ネッシー伝説が恐竜の化石が発見されたことの影響を受けた可能性を指摘する。
それによれば、過去200年、ウミヘビのようなシーサーペントの報告が減少し、首に注目する報告の割合が増加してきたのは確かなことだという。
恐竜の化石が英国人古生物学者ウィリアム・バックランドによって初めて発見されたは、1819年のことだ。
やがて中生代の恐竜が広く知られるようになると、それまでシーサーペントの報告だったものが、どんどんとプレシオサウルスやモササウルスのような海洋生物の報告に変化していった。
シーサーペントが恐竜とはっきり比較されるようになったのは、最初に恐竜仮説が唱えられてから50年が経過した、19世紀末のことだそうだ。
Loch Ness Monster 'Is Probably A Large Catfish'
written by hiroching / edited by parumo: