「レモンサワーと酢の物」《新井見枝香コラム・本能めし5》 (2/2ページ)
牛丼屋でミニ牛丼を頼んだら、おちょこサイズの牛丼で、ミニってそういうことか、さすがにこれ一杯で店を出るやついねぇだろう、と悲しくなるレベルのミニっぷりだ。
そういうわけで、酒のつまみは、包丁を使わないものを作るようになった。
鶏皮を小鍋で茹でて水に取り、キッチンばさみで細長く切る。スライサーでキュウリを細長く切って、酢醤油と生姜なんかで和えて、あれば「岩下の新生姜」も散らして、鶏皮の酢の物が完成。引っ越してからこっち、鶏皮だけでウエディングドレスが作れそうなほど食べている。私が越してきてからというもの、急に鶏皮の売れ行きがよくなったと、スーパーの精肉部でも話題になっているかもしれない。何かのテレビで疲労に効くと紹介されたのか、と。
鶏皮が効くかは知らないが、疲れているときは、本能がすっぱいものを求める。
それゆえ昼休憩には、職場近くの寿司屋でにぎり寿司ばかり食べている。
新人のくせに。ちっとも仕事ができないくせに。1.5人前も、美味しいにぎり寿司を食べている。
早く仕事に慣れないと、破産だ。