なぜ日本のマンガ(漫画)が世界中で愛されているのか?
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謎めいた暗殺者、ゴムのごとき体の海賊、同性愛の美しき吸血鬼、女装の美少年。イギリスの大英博物館では現在マンガ展が開催されている最中だ(2019年5月23日~8月26日)
日本が世界に誇る絵を使った独特の物語の技法は、単なる娯楽としてだけではなく、文化的・芸術的な重要性を持つ。
日本古来の芸術に連なるマンガ(漫画・MANGA)は、アニメやコスプレといった文化を生み出し、ファッションや文学の世界にまで影響を与えるなど、今や巨大産業に発展した。
なぜマンガは国境を越え、世界中で愛されているのか?
海外サイトでその考察がなされていた。
・現代のマンガのルーツ
マンガのルーツは日本中世の絵巻物や17世紀の草双紙、さらには古代の彫刻にまで遡れるが、今ある形のマンガが登場したのは、長い鎖国の時代がようやく終わりを告げた19世紀のことだ。
1860年代、外国人の入港が認められるようになった横浜港では、西洋式の新聞が初めて印刷され、ジャパン・パンチのような新聞に掲載される漫画が人気を博すようになる。

17メートルもある作品だが、魯文と交友のあった河鍋暁斎が、酒を飲みつつ、たったの4時間で描き上げたと言われている。27体の妖怪が描かれているが、それらは9世市川団十郎や5世尾上菊五郎とった当時の人気歌舞伎役者をモデルとしている(1880年)TSUBOUCHI MEMORIAL THEATRE MUSEUM, WASEDA UNIVERSITY
当時日本には絵草紙屋(1890~91年)があった。
日本の子供たちは、おもちゃやゲーム、あるいはマンガを手にするべくショピングモールやネットに向かうようになる前、こうした絵草紙屋に足を運んでいた。店頭に並ぶ絵草紙には彩色が施されており、まるでマンガの未来が垣間見えるようだ。

・アメリカのコミック文化の流入
日本ではかねてから風刺的な戯画が盛んに描かれてきたが、コマ割りや吹き出しのついた連載漫画は目新しいものだった。
それから1世紀後、1945~52年のGHQによる占領期、アメリカ人によって小説やアメリカンコミックが持ち込まれた。
やがてマンガ家たちは、『不思議の国のアリス』のアリス、ジェームズ・ボンド、ミッキー・マウスといったキャラクターを自分たちの作品に描き、ディズニーのアニメーションに見られる大きな目といった特徴を取り入れるようになった。
・今度は日本のマンガがハリウッドや世界に影響を与える
すると、今度はハリウッドの側がその影響を受け始めた。
たとえば『スノーホワイト』(2012年)の映像美術にはアニメーション映画『もののけ姫』(1997年)の影響が見て取れる。
また『マトリックス』(1999年)に至っては、製作者自身が『攻殻機動隊』(1995年)のサイバースペースの描き方を参考にしたと認めている。マンガは世界各地に広まり、現在はその歴史の新しい章の幕開けと言えるだろう。
シリアの難民キャンプでは『キャプテン翼』のアラビア語版が配られ、ケニアのマサイ族の少女を描いた『Miseyieki』といった海外発のマンガも登場するようになった。

Takahashi Yoichi (b. 1960), Captain Tsubasa, 1981–88. c Yoichi Takahashi/SHUEISHA.
・世界がマンガを愛する理由
世界がマンガに恋に落ちたその物語はきわめて劇的なものだ。なぜなら、かつてマンガはマイナーな日本的サブカルチャーで、国際的な趣味にはそぐわないものとされていた時期があったからだ。
当時、多くの西洋人がパラパラとページをめくる日本人の姿を不思議がっていたのも事実だ。また、日本国外でマンガを手に入れることも難しかった。
それどころか国際的なメディアは一部のマンガを取り上げ「ヘンタイ」についての記事を書き、その評判を貶めた。
だがインターネットが状況を変えた。人々は「ヘンタイ」はマンガを表す言葉などではなく、マンガ自体には、人間社会のさまざな側面を描き出す力があるということに気がついた。
大きな胸と大きな目をした女の子は、ただの始まりに過ぎない。マンガには、広島の原爆から東日本大震災まで、困難に直面した人々の苦闘を描く力がある。悲しみや孤独といった人間にとって普遍的なテーマを描く力がある。
マンガが世界中の人々の心に響くのは、そこに共感や理解を生じさせる力があるからなのだ。

stefanopolitimarkovina/iStockReferences:britishmuseum / blog.britishmuseum / blouinartinfo / 843magazine/ written by hiroching / edited by parumo