ゲスの極み!鬼畜の所業!平貞盛が自分の孫を殺そうとした理由がエゴすぎる【上】 (3/4ページ)
「何じゃ。それで助かるなら、赤子の一人や二人。そうと判ればすぐにでも……そうじゃ!」
何か思いついた貞盛は、すぐさま我が子の左衛門尉(さゑもんのじょう。養子の維叙—これのぶと推定される)に会いに行きました。
息子を脅迫し、その妻子を……「……時にそなたの妻は、いま身ごもっておったな。実はかくかくしかじかにて、胎児の生き肝が入用なんじゃ。ここは一つ譲ってくれんかのう?」
貞盛はサラリと言ってのけますが、今日の臓器提供などとは違い医療技術など無きに等しい時代。それはつまり「お前の妻と、これから生まれて来る子を殺せ」と言っているのと同じこと。
息子の動揺にもお構いなしで、貞盛はいけしゃあしゃあと続けます。
討ち取られた平将門。その矢が貞盛が射たものかは不明。成田山新勝寺の絵葉書、昭和初期。
「かつて神鏑(しんてき。神の射た鏑矢)をもって平将門を討ち滅ぼしたこの貞盛サマが、人間の矢で傷つけられるようなか弱い男と思われては外聞が悪いし、命助かりたさに赤子の生き肝をよそから求めたとあっては更に外聞が悪い。そこで内々に、そなたの妻の子を……」
つまり「世間体のために妻と子の命を捧げろ」と言っているのに等しく、とてもそんな要求は呑めません。
「父上!冗談でh「……よいな?」
貞盛は家来の判官代(ほうがんだい。職名で、実名不詳)に命じ、武装した配下に左衛門尉をずらりと取り囲ませました。「妻と子を差し出せ。