物理学者が「生命は2次元世界でも生存できる」ことを試算(米研究) (2/4ページ)
NASA
・あつらえたかのような宇宙
そもそもなぜこの世の物理法則は生命の都合に合わせたかのようにできているのか?
たとえば電磁相互作用の強さを表す「微細構造定数」(約137分の1)はあつらえたかのようで、それがわずかでも違うものなら原子やより複雑な物体は形成されなかっただろう。こうなれば当然生命は存在できない。
1990年代、現在MITの物理学者であるマックス・テグマーク氏は、宇宙の次元について似たような議論を行った。
もし1次元を超える時間次元があったとしたら、物理法則は観察者が予測をするために必要な特性を失っていただろうというのだ。もちろん物理学者などという職業は成り立たず、おそらく生命だって存在できなかったろう。
4次元空間の宇宙はどうだろうか。この宇宙では、ニュートンの運動の法則がちょっとした摂動に対してきわめて敏感になる。安定した惑星の軌道などは望めなくなり、太陽系が形成されることもないし、今あるような原子や安定した構造ができることもない。
結局、現在の宇宙よりも次元が多いところでは、私たちが存在するための条件が整わないということだ。だが、次元が少ない場合はそれほど確かではない。
・2次元空間にも重力が生じる可能性
たとえば2次元では一般相対性が機能しなくなり、重力もなくなるという説がある。
しかしスカーギル氏の考えは違う。もっとシンプルで、純粋なスカラーの重力場なら2次元でも機能できるだろうというのだ。ならば安定した軌道もできるし、それなりの宇宙論も通用する。