10代のうつ病が増加傾向。原因はゲームではなくSNSであるとする研究結果(カナダ研究)

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10代のうつ病が増加傾向。原因はゲームではなくSNSであるとする研究結果(カナダ研究)
10代のうつ病が増加傾向。原因はゲームではなくSNSであるとする研究結果(カナダ研究)

takasuu/iStock

 カナダからの新しい研究によると、画面を見つめて過ごす時間は、特にSNSを利用していた場合、10代の若者たちで増加するうつ病と関係があるのだそうだ。

 研究チームは、4年間にわたりうつ病と10代の若者がさまざまな機器の画面を見て過ごす時間との関連性を調査した。

 SNS(FacebookやTwitter、Instagramなど)、ゲーム、テレビとうつ病の関連性を調べたところ、SNSとテレビはうつ病を増加させることがわかったという。一方でゲームとうつ病に関連性は見られなかった。

 「明らかになったのは、SNSの影響は他のどんなデジタル機器よりも大きかったということです」とモントリオール大学の精神医学者パトリシア・コンロッド教授は話す。
・SNSとテレビはうつ病を増加させる

 『JAMA Pedatrics』(7月15日付)に掲載された研究では、2012~2018年に中学1年生から高校2年生までの3800人の若者の行動データを収集した。

 被験者には、その週にSNS、ゲーム、テレビを見た時間を自己申告してもらい、このデータと病院の臨床データとを比較し、うつ病との相関関係とが分析された。

 すると、SNSおよびテレビを見る時間と、うつ病の増加とには相関関係があることが明らかになった。

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ClarkandCompany/iStock

・もっとも有害なのはSNS

 まず画面を見る活動で一番有害だったのはSNSだった。

 コンロッド教授らの主張によると、うつ病の増加は、インスタグラムのようなSNSを通じた活動と関係しているという。

 そうした場では、やたらと華やかな写真ばかりが目に触れる。だが自分の生活を振り返ると、そんな華やかさとはちっとも縁がない。すると自己嫌悪に陥ってしまうというわけだ。

 そこは「悪循環を引き起こす反響室のようなもので、うつ症状を悪化させてしまう物事に常にさらされる結果になります」とコンロッド教授はいう。

 ちなみにSNSをやることで、運動などのうつ病を緩和する活動が行われなくなる可能性も考えられたが、今回の研究ではそうしたことはないという結果だった。

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Gerd Altmann from Pixabay

・ゲームは逆に気晴らしになっていた

 意外だったのはゲームをプレイしたからといって、うつ病が発症しやすくなったりはしていなかったことだ。

 研究から明らかになったのは、平均的なゲーマーは社会的に孤立しているようなことはなく、ゲーマーの7割は直接かオンライン経由で他の人たちと一緒にゲームをプレイしていた。

 引きこもりの原因になるなど、何かと目の敵にされがちなゲームだが、むしろプレイすることで幸福感が上がるという結果が得られており、いい気晴らしの手段であることがわかった。

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Monika Baechler from Pixabay

・SNSが心身に及ぼす影響はまだ未知数

 最近では直接的な人間関係にかわり、ネット上での人間関係が増えてきている。特に10代の若者の場合、1日平均で6~7時間画面を見つめて過ごしているといわれている。

 このような状況だが、研究チームの1人であるエルロイ・ボーアズ氏によると、ネット上の人付き合いが人々に与える影響をきちんと調べた研究はまだ少ないのだそうだ。

 彼はこの状況を70年代の喫煙になぞらえている。当時、タバコの有害さは今ほど知られておらず、人は自由に喫煙をしていた。しかし、現在の喫煙に対する風当たりの強さはご存知の通りだろう。

 SNSも最近でこそ、その心に与える悪影響を指摘する声が増えているが、今のところ子供であっても比較的自由に利用することができる。

 うつ病は年齢にかかわらず発症するが、若いうちに発症した場合、薬物の使用、自尊心の低下、対人スキルの悪化といった、社会生活を困難にする状況につながりがちであり、特に注意が必要だ。

 未来を担う大切な若者であるからこそ、健全なSNSの使い方を教えておくべきなのかもしれない。

References:Social media, but not video games, linked to depression in teens, according to Montreal study | CBC News/ written by hiroching / edited by parumo
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