槙ようこ先生の引退から振り返る。愛すべき『りぼん』作品 (2/2ページ)

マイナビウーマン

少女漫画といえば「少女が主人公の漫画」だと思っていたから、本当に驚かされました(それより前にりぼんで連載されていた『ミントな僕ら』も中学生男子が主人公だったのだけど、彼は女装男子だった)。

そして主人公である桔平の恋愛がメインになるのではなく、置き去りにされた5歳の従妹・ゆずゆとの関係性を軸に物語が展開していったこともとても画期的で、気づけば毎号展開が気になる連載のひとつとなっていました。

神から力を授かった怪盗女子から、女タラシだけど子育てに悩む男子高校生まで、1冊の雑誌のなかにおそろしいほどのバラエティが詰め込まれていたんだなあ……と改めてしみじみ。

多くの作家さんが『りぼん』からお姉さん雑誌へと活動場所を移してしまう中、りぼん作家としてキャリアの幕をおろすこととなった慎先生のりぼん愛、深すぎる。

■表紙がぼろぼろになるまで『りぼん』を読んだ日々

りぼんがもっとも多く売れていたと言われているのは、1990年代半ば。『ときめきトゥナイト』とか『ちびまる子ちゃん』とか『ご近所物語』とか、このころのりぼん作品のほうが世間的な知名度は高いでしょう。私も単行本で読んで大好きです。

それでも、10代のころリアルタイムで追いかけていた1990年代後半~2000年代のりぼん作品たちは、あとから読んだどんな漫画よりも自分の血肉になっている実感があります。

自分でお金を稼ぐようになり、しかも好きなときに好きな本をkindleで買えるようになった近ごろ。

それでも毎月1回、おこづかいを手に本屋にダッシュしてりぼんを購入し、次の号が出るまで何度も何度も、表紙がぼろぼろになるまで1冊の雑誌を読み返していたあのころの自分が、結構うらやましい気がするのです。

(文:ひらりさ、イラスト:谷口菜津子)

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