「夏の選手権第100回大会」吉田輝星擁する金足農VS“強力打線”横浜の激闘 (2/2ページ)
だが、続くピンチを三振、一ゴロで切り抜ける。さらに8回表も先頭の9番・遠藤の二塁打をきっかけに1死三塁とされたが、後続の2人をいずれも内野ゴロに仕留め、得点を与えなかった。この吉田の気迫のピッチングがチームに奇跡をもたらすこととなるのである。
4回以降、横浜の板川は低めに変化球を集め、好投。金足農打線に2本の内野安打しか許していなかった。だが、8回裏。その板川から金足農は3番・吉田、4番・打川和輝が連打し、無死一、二塁という絶好のチャンス。続く5番・大友朝陽が送りバントを失敗し、投飛に倒れてしまい、イヤなムードが漂いかけた。ここで打席に入った6番・高橋佑輔が、初球の真ん中に入ってきた甘いスライダーを振り抜いた。打球は劇的な逆転3ランとなってバックスクリーンに飛び込んだのである。それはまさに不調の吉田を支えるチームメイトの魂のひと振りであった。
最後はもう吉田が締めるだけだった。息を吹き返したかのように右腕が軽やかにしなる。先頭の4番・万波は外角のスライダーで空振り三振。5番・内海は内角のスプリットでこれまた空振り三振。最後は6番・角田を146キロの直球で空振り三振。なんと3者連続三振で試合を終わらせたのである。しかも球数150球を超えた9回に自身甲子園最速となる150キロをマークするなど14奪三振。12安打を浴びながらも大量失点を防いだ164球の熱投が勝利を呼び込む形となったのだった。
この劇的な逆転劇で金足農は95年以来23年ぶりとなる夏の甲子園ベスト8進出を決める。最終的には惜しくも準優勝に終わったが、金足農ナインが毎試合、試合の中で成長していくさまはまるで漫画。これぞ雑草軍団の真骨頂であった。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=