「憑依」を取り扱った作品をいくつか紹介

心に残る家族葬

「憑依」を取り扱った作品をいくつか紹介

人気作家 東野圭吾が大ブレイクのきっかけは小説「秘密」である。「秘密」は日本推理作家協会賞を受賞している。「秘密」は1999年に滝田洋二郎監督の元、小林薫と広末涼子で映画化された。私は「読んでから見るか、見てから読むか」(一世を風靡した角川の出版と映画をコラボしたキャッチコピー)は成り行き任せだが、ストーリーが複雑な場合は読んでから見るほうが映画も判りやすいと思っている。なぜなら、昔「ダ・ヴィンチコード」を見た時、内容がさっぱり理解できず、原作を読んでようやく理解できたことがあったからだ。そして「秘密」は原作を先に読んでいた。

■「秘密」のあらすじ

杉田平介は39歳の自動車部品工場勤務の平凡なサラリーマンで、妻直子と小学校5年生の娘藻奈美の3人で暮らしている。直子は実家のある長野での葬儀に出るため藻奈美とスキーバスで出かけるが、バスは転落事故を起こし、直子は死亡し、藻奈美は一命をとりとめる。事故の原因はバスの運転手の超過勤務による過労からの運転ミスだった。

奇跡的に意識を取り戻した藻奈美は平介に「あたし、藻奈美じゃないのよ。あたし、直子なの。」と泣きながら告白し、藻奈美が知りえない二人の初デートの詳細などを話すのだった。平介は図書館で本を読んで調べると、藻奈美の状態が「憑依」という直子の霊が乗り移った状態に近いということが分かった。そして平介と体は娘の藻奈美で人格は妻の直子の奇妙な二人の生活が始まった。

藻奈美は成長し医学部に進学するが、ボーイフレンドができ、平介は父として心配すると同時に夫として嫉妬に駆られるなど不安定な精神状態に悩まされる。又、近親相姦的な危うい状態に陥りそうなことも起きる。その後、直子の人格が消え藻奈美の人格が出現するようになっていく。

■平介が図書館で読んだ「超常現象の事典」

平介が図書館で読んだ本はイギリスの超常現象、オカルトそして歴史的および宗教的な謎についての作家、研究者であるリン・ピクネット女史の書いた「超常現象の事典」で、その中で憑依について次のように書かれている。

人類の発達のごく初期段階で、部族社会が出現しはじめた頃、忘我状態に入りなにか価値ある情報を取得できるらしい人間がごく少数いることが分かった。その状態でこの人間たちはいつもとは違う声で発語した。霊が一時的に乗り移ったような気配を周囲は感じた。これが「憑依」の始まりである。

その後、旧約聖書、ホメロス、ギリシア、キリスト教で、憑依は「神の介入」なのか、そうでないのか、聖霊なのか悪霊なのかと議論があり、解釈も変化した。また、本では次のような憑依の事例が紹介されている。

■フランスのルーダンでの尼僧集団憑依事件

1630年代にフランスのルーダンで憑依の歴史的記録でもっとも有名な「尼僧集団憑依」が起きた。この事件では尼僧たちだけでなく、尼僧たちの悪魔祓いに派遣された修道士までも憑依されてしまった。

彼らは「卑猥な言葉や神をあざける言葉を口にしながらも、それを眺め耳を傾けているもう一人の自分がいた。しかも口から出る言葉を止めることができない。奇怪な体験だった。」と述べている。それ以後、憑依を二重人格あるいは多重人格の表われとみなす考え方が一般的となる。

自分は単一実在ではない、複数の自分の寄せ集めで、普段はそれが一致して動いている。あるいは、日々の管理を筆頭格に委ねている。しかし、憑依のもっとも馴染み深い形はこれをうまく説明できないことがやがて明らかとなる。霊媒行為である。この場合、筆頭格は明らかに異なる実在のように見えることが多い。その霊媒がトランス状態でない時には知っているはずのない情報を提供できる。

■「ワトシーカの不思議」事件

1877年にアメリカイリノイ州ワトシーカで憑依の事例が起きた。ルランシー・ヴェナムという13歳の女の子が癲癇の発作を起こし、無意識状態に入るようになった。トランス状態になると彼女に様々な霊が取り憑いた。その「支配」霊が12年前に死亡したメアリー・ロスという少女である。

ほぼ1年間ルランシーはメアリーに取って替わられた。彼女はメアリーの家族によると生前のメアリーのように振る舞い、ロス家の家族やしきたりについて詳しい知識を示した。1年が過ぎるとメアリーは天国へ帰らなければと言い、そのとたんルランシーに戻った。1954年にはインドでも全く同様の憑依事件が起きている。

以上紹介したのはこの本の憑依、多重人格のごく一部であり、分厚い本だが、超常現象に興味をお持ちの方には一読をお薦めしたい。

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